49/1015
オークション
オークション開催。
小人が売られていた。チーズ色の小人だ。
高値で落札されていた。
次は、本の服を着た小人だ。
これも高値で落札されていた。
最後に赤色と黒色に塗られた小人だ。
同じく高値で落札された。
小人は、そこらじゅうに歩いている。
その小人にチーズを塗ったり、本を着せたり、赤黒のラインを引いたりしただけで、高値で落札されている。
その落札金額が、働いて働いて、夜も寝ないで働いて得た報酬より高いんだけど。
どうなっているのだろう。
いったい何が間違っているの。
不思議だ不思議だ摩訶不思議だ。
とうてい、釣り合うモノでもない。
働いた記憶がよみがえる。
辛くて、苦しくて、眠くても、我慢したな。
何日も何日も働かないと、あの落札金額に達しない。
等価なの?
いいや、違うな と分かっている。
誰でも、子供でも分かることだ。
きっと別の世界なんだ。
世界線が混線してるに違いない。
だって、あんな世界と一緒だったら誰も皆、アホらしゅうて働かなくなってしまう。