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天の扉
朝
空が白じみ始めた頃、ホーム上で電車を待つ
人多いよ
こんなにも、人が移動する必要があるのだろうか
人の体内を血液が流れるように、移動しなければ社会が成り立たないのだろうか
水道、ガス、電気、情報、配送等物流があれば、人が移動しなくても何とかなるのでは
流れがなくなれば、滞れば、人は腐るのだろうか
もっとゆっくりでいい
毎日毎日同じことの繰り返しは飽きた
いつまでも変わらぬ日常
もう…飽いだ
妄想する
都市の間から、樹々が成長し、空高く伸び
隙間を縫うように渓流が流れる
様々な鳥が飛び交い、鹿の影が見える
静かな都市
電車は止まり錆びつき、舟が川を滑っていく。
遥か海を望めば、湾中央に建築された透明な塔が天まで伸びていく
天の扉だ
風の時代だと占い師が言う
ただ流れるべきとかではない
重りは嘘で、纏わりつく網など本当は無いから、誰かの妄想だ
それに付き合うほど親しくもないだろう、なあ
妄想と現実は別
誰かの妄想を信じる義理もなし
拒否すればいい
妄想は拒否するだけで、霞のように消えていく
妄想が効力を発揮するのは、自分が信じてるだけだから
どうせ信じるならば
そして次の岩へ行け