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暗闇に沈む陽  作者: sakura
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青森君の一番長い一日(後編)

ケケケケケ…


車内に俺の笑い声が、木霊する


おっと、いかんいかん

寝不足で瞼が重いぜ

そうそう、温度差の話しだったっけ?

我が社にも遂にワークライフバランスと言う概念が制度となって利用する者が現れ、削減された定員から更に人数が減り、実員が半分になったのだ。


制度自体を否定するわけでは無いが、仕事量は逆に増えつつあるのに、人が減るとはどういうわけか?

しかも籍はあるから数字的には減っていないのだ

優雅に帰れる彼らを見てると、何かが違うと感じる


ああ、吐きそうだ


そうそう、人数が半分を切り出した頃、営業成績が問題視された

苦情処理に追われて回らないから下がるのは致し方無い

自然現象だよ


でもそんな自然の理は通用しない

そうなってくると苦情処理の合間に営業するしかない

一人だけ社に残って電話番となり他は現場から現場へ転進するようになり、誰も帰って来なくなった


そのうちクレーマーの処理はおざなりとなった

放置である

そうしなければ回らない


更に他の苦情処理も直ぐに対応できず後回しにするようになった

回らないからだ、致し方なし

そのうち処理したことになった、問題はない

苦情など見当たらなかったのだ、見つからなければ仕方がない

どんどん仕事量は増えているので自主的に減らさなければならないのだ


とにかく無理矢理にでも営業して契約を取らなくてはいけない

大きな契約は無理、そんな時間はない

小さな契約を取って数を増やすのだ…


仮眠は取る でなけれは運転が危ないから


ブンブン、ブブブン、ブンブンブン

ワハハ、ハハハ

おっといかん、いかん

最近訳もなく笑いたくなる


人が居ないから、風通しの良い笑い事の絶えない職場です


明日は昼前には帰りたい

だが、営業職とはいえ、どうしても書類は作成しなければならない

勤務時間内では、社に帰れないから時間外で仕事するしかないのだ

それがおかしいなと思う感覚は残っているけど仕方ない


交代した後は、他の仕事は絶対に受けない

出なければ仕事が終わらないからだ

明けの日は、残って仕事しても効率が悪い

そんなことは分かっているけど仕方ない


動悸眩暈がしたので、車を止める



何故?

何故にこんなことになった?

いったい誰のせい?


俺にはもう何が正しくて、何が間違っているのか分からない


しかし、次の休みまでは働こう

もしこれで、休みが無くなるようになったら、もう終わりだ


ケケケケケ…



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