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静かな雨
朽ちていく
朽ちていく
五月雨の如く、何もかもが腐れて崩れ落ちる
雨が降る、溶けていく、強酸の雨
何もできることはない
遅過ぎたのだ
もう間に合わない
滅亡をただ待つ日々
寸断された社会
いつ止まるか分からないライフライン
遠くの灯りがまた一つ消えた
静かに消えていく
何の痕跡も残さず
見上げれば炭と黒の曇天の空
蠢く雲龍が彼方まで続く
何だこれは
何なんだ、これは
雨が降る降る、雨が降る
関を切ったように崩れる落ちるビルディング
雨音だけしか聞こえないのに
今、何百の命が消えた
ノイズを流していたテレビの画面がプツリと消える
部屋の灯りがめん滅し、そして突如暗くなる
消えてしまうのか
こんなにもあっけなく
地表に蔓延った黴が水に流されるように
儚く、弱い、絆の無い人類など、虫よりも弱いものだった
自称霊長類よ
浅はかな、なんて浅はかな まるで蠱毒
流した毒に自らかかり、のたうち回り、周りを犠牲にして静かに息を引き取る
なんてはた迷惑な
室内に雨音
肩に一雫
世界に雨音だけが響く
ズルした奴の報いを何故我が受けねばならぬ
理不尽な怒りが胃底から喉を突き上げる