青森君の長い一日(中編)
でも、話しはここで終わらないのだ…。
車を運転しながら、これまでの経緯に思いを馳せる。
労働者は、休みを取ることができる。
当然だ。当たり前である。法律で決まっている。
我が社でも、そのあったら良いのに夢のような施策実施の波が来た。
荒波である…ザパーン!
来た、来た、来た、やっと来た。
これで、ホワイト部署になる。
だがこれが悪夢の始まりだった。
何と言ったかな…そう、ブラッティドリームです。
安全確認しながら右左折する。
人員は変わらない。
でも休みは取らなくてはいけない。
どうなるだろうか?
…
こうなりました。
まず賢く制度を利用する人達が出ました。
制度を利用した休業等です。
籍はあるのに職場には存在しない人達です。
正規の制度を利用しているので如何ともし難い。
理由はどうあれ実員は、18人と減りました。
青信号になったのでアクセルをグッと踏み込む。
休業等の方々に対しては複雑なる思いです。
いったい残った我々はどうなるのか?
魔法のように消える代休も本来は消化しなくてはなりませんし、夏休みも最低限の日数は取らなくてはなりません。
風邪、不体調、行事等等で欠員も出ましょう。
だからマイナス1で計算します。
結果、代休、夏休みを2人づつ半年間掛けて取得することになりました。
すると、常時稼働できる実働員は15人となりました。
ん?すると30人分の仕事量を半分の人数で処理することになります。
仕事量は30人発足時の昔よりも増えているのに?
また営業とは、必要量を掛ければ結果が出るとは限らないし、苦情処理もマニュアル通りにやればよいわけではありません。海千山千の宇宙人から見かけは大人、精神は子供の人など幅広く相手しなければなりません。どちらも膨大な時間がかかるもの。それを半分の人数で対処せよと言うのか?
…
無理じゃね?
そう思いましたが、驚くべき事に我々は適応しました。
分刻みならぬ秒刻みのスケジュールの遂行。
並列思考で先々の自分をマネージメントし無駄を省く。
クイックチャージで回復。
夏休みで働く、職場で寝食。
悩まない、切り捨て、振り返るな、突攻です。
戦場でメリークリスマスです。
戦場で除夜の鐘を聴く。
ああ、明けましておめでとう。
笑いの絶えない職場です。
制度を利用した人達が微笑みながら優雅に時短で帰って行く。
…見る、見る、見る。
何も思うことはない。しかし…温度差を感じた。
まるで柵の中から外を見てるかのように感じる。
これは私達も変わらない処を見せるべきではないか?
だから、さあ、私達も笑おうではないか。
ウケケケ…。