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黒陽
暗闇の大地に沈み込む
揺ら揺らと陽炎のような巨大な太陽
誰もいない 沈めば全てが終わる気がする
我が横たわる
見ているのは我
黒点が身体を侵蝕して臨界を越えた
機能は停止したのか もはや定量を超えたのか
ありがとう身体
やり切ったから朽ちるまま、このまま誰にも見守られぬまま途絶えることだろう
まさに我に相応しい 我はそれでいい
瞼を閉じるのと太陽が沈むのと、どちらが先であろうか
最期の景色が美しい
マグマのようにドロドロと溶けた巨大な太陽が暗黒の大地に沈みゆく 最後の光りの一線が、我を照らすのだ
…人類は途絶えました
空は濁り 大地は不毛 海は干上がった
鳥は空を捨て 花は枯れ 動物は朽ちた
はたして複雑適応系は失敗だったのか
消えればいい 全てが消えれはいい
記憶が灰色に染まる ああ こんなに悲しいことはない
やり直しを要求する




