大罪
昔、あまりの領主の暴虐無尽ぶりに村の名主が、将軍様に訴えた。直訴である
直訴は国家の大罪
結果は領主も処分されたが、訴え出た名主も元より、その妻、家族まで死罪となった
最初、幼い子供の時に聞いたとき、なんて酷い話しだろうと思った
悪いのは領主で、名主達は被害者ではないか
これは、おかしい
昔の社会システムが未熟であるから起こった悲劇だと、今は大丈夫…
次に、若かりし頃、似たような話しを聞いたとき、しばし考えた
何故に、これが当時、是とされたとか
これは果たして善悪だけの問題なのか
個ではなく、全体の問題なのか
正しいのか正しくないのか
単純に是非を問い、善悪だけで判断して、社会が回るならば、そんな良い話しはない おそらくはそれだけではダメなんだろ
だからこそ、皆、成長する
社会の複雑怪奇な乱麻を断つには、それを理解できない子供には判断できないから
善悪、清濁、とは別の判断基準が必要なのか
分からない
だけど、ことは単純ではないのだと思った
そして、今は、当時の社会の未熟が招いた悲劇ではなく、ある意味、これは是とするしかない思っている(個々の状況に寄るけども)
今まで生きてきた経験上の判断である
もちろん当事者にはなりたくもない
社会上の不都合は、正さなければならない
適材適所が一番良いと思うし、水は流れなければ破裂する
社会は機能しなければ人間は生きていけない
社会があって、初めて人は生きていける
個の話しではない 種の話しである
まずは種の生存が優先される
善悪などは、優先順位的にはかなり低めだ
故に、社会を壊す、或いは乱す、危険な、それに準ずる行為は、みだりに発生させてならない
もし、是正するならば手続きに沿わなければならない
それは、あまりにも危険な行為だから、相応のブレーキが必要
その危険さに比べれば、社会の一部分の不都合など些細な課題なのか…?
単純化して例えて、考えてみる
思考実験です
自分の所属するコミュニティを刺す行為とは、自分らが住む宇宙船を壊す行為に等しいと考えれば分かりやすいのか?
もし私が船長の立場ならば、そんな阿呆どもは滅殺する
どんな理由があろうとも そんな危険な生物とは一緒には生活出来ないから…なるほど。
その宇宙船から、危険生物が入り込んでいるとの救命信号を、キャッチした責任者の立場ならどうするか?
一番シンプルな解決方法は、その宇宙船ごとドカンである
ふむふむ
ならば、当該危険生物の立場なら…?
ちなみに善悪の是非も、被害、加害の別も関係ない
それらは、この場合、考慮する余地はない