13/1015
月夜の
涙を流す。
カツン、カツンと道路につま先を打ち付ける。
誰もいない、暗闇に反響す。
鈍い音が、辺りに木霊して直ぐ消え。
音も、この寒さに凍りつくのか。
辺りには誰もいない。
いるはずもない、こんな夜更けに私以外には。
住宅街にクリスマスのイルミネーションが輝く。
風が無いだけ、ましなのだ。
風除けの無い大通りでは、瞬く間に体温を風に奪われてしまうだろう。
しかし、冷気とは、地面から足から登ってくるものなのだ。
既に下半身は、油の切れた蝶番のようだ。
樹氷とは、きっと雪が吹きつけて出来るものでは無く、地面から冷気が幹を通り枝先まで、這い上って出来るに違いない。
誰も居ない深夜の住宅街を、我の鈍い足音だけが響いて。
響くたびに心が虚ろになっていく。
時さへ凍りついた街を、我だけが歩いていく。
太陽よ、まだか。