return
返る、返っていく
人生のフィルムを逆回転するように
血の晩餐、叫びの蓮華
帰ってきた当然の現象
巡るめき現世の惨劇に眩暈を覚え、意識が途絶える
…気が付けば、原初と終焉の地に一人佇む
此処は何処?
二度と昇らないだろう古びた太陽が溶鉱炉のように沈み地平線が暗く溶けていく
荒野と暗い海だけの此処は時の流れない最果ての地
やがて足元をヒタヒタと近寄る
不自然に返す波、逆に寄せる波
海の彼方から水色透明のプラスチック液に足を捉われ…
吸い込まれるるような原初の響きの風が轟々と遠くから、耳朶に微かに聞こえ
月と太陽が隠れて、暗闇が天蓋を覆ってしまう
心臓の鼓動がドクドクと
まだ生きている?
だが、あああ…dogmaが大地からめくるめく噴き出して火砕流が流れ流れて来て全てが埋もれて海と化した人世界はプツリと終焉を迎え終わるのだ
…全てが終わった暗闇の無窮の時の流れは魂の牢獄
誰も居ない孤独 瓶詰めで身動きとれぬほどの無窮の時の彼方まで続く魂の疲弊
星々が寒気で悴むほどの、震え伝わるマイナスの寒度
重苦しくも沈む空気、変化のない写真のような寒々とした生気のない風景
幽領の牢獄で待つ
やがて静寂の奥に狂おしい慄く声が近づいてクル
刻々と近づく
遠暗い次元の隙間から伸びる何本の手が手が近づいて
掴み、捉われる
今まで、とってきたものを返せ
オマエの何もかもが偽物の、借りてきたもの
自ら創りだしたものは何も何もない
かえせ、かえせ
本来の持ち主の元へ、帰れ、還れ、カエレ…
跡形もなく捌かれる壊れた魂に輪廻転生はない
惨劇の静寂の現象は、当然の帰結
帰ってきただけ
潰し、引き裂き、掴み、かえっていく
其処には何も残らない
きっと、元から何も無かったのだろう




