暗闇に一人
世の中は、理不尽で不幸な出来事が荒野の如く蔓延っているもの
見渡せば、おかしく奇妙な出来事で満満載です
その魑魅魍魎の中を進み行くのは、たとえ言えば、岸が見えないほどの川幅の大河の水面に浮かぶ一艘の小さな舟に乗り、濁流に流されていく感があります
波が荒れるたびに小さな舟は揺れ、不安になる
私という小さな生き物はこの先何処まで行けるのだろうか?
これまで下ってきたし今も下っている
広大無辺なこの大河は、何処へ向かって流れているのだろう?
昼となり夜となり、薄闇や灰色景色、何処までも空を覆う雲、時は移ろい、生温い風が荒涼と吹き荒ぶ
舟が転覆したら、どうしよう?
人の力では、どうもならないからそれまでです
そう、私などは、それまでの儚い命です
まるで、蛍のような私
カンテラに灯りをともす
理不尽でくだらなき塵のような世の中、その濁流の中でも生き物は生きている
ときおり、跳ねる音がするから
この川の深さは分からない、浅いのか、遥かに深いのか
見つめても、濁って底が見えないのだ
舟が揺れた
濁流に呑まれてはならない、もし、呑まれたら私などは天地も分からずにクルクルと転げて、泡が消えるように瞬く間に無くなるだろう
暗闇に光る灯火をみる
ああ…私もいつかは消えるのだろう
燃料は有限だし、永遠なものなどない
消えるに際し、苦しいのや痛いのは嫌だなと思う
流されながら、流されたくはない
人は、生きるに意味付けしたい
宗教や占いが流行るのは、そんな人の習性のゆえ
だだ、ロジックは自然や神に通用はしない
無意味に違いない
ただ、この灯りは、証しであり、譲れないものであり、命の輝きであり、現象であるのです




