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青炎


あのときのシエルは本当に天使だった。

過去を思い返しうんうん、と心の中で頷いていると、


「…リリィ、9歳のときのことだが…」

「あー、やっぱり何も思い出せないんだよね、私も失神してたらしいし」

「そう、だよな」


がっくりと肩を落とした元天使は、ふとした時に5歳の時に起きたある事件について聞きたがる。

落ちた川の中で見たという、青い髪の少女のことを。


静養のため王都からグッと離れたこの地に来ていたシエルの体が少しずつ回復の兆しを見せ、私と一緒にピクニックに行けるようになった頃のこと。

私を探し歩いていたら足を滑らせ斜面を転がり、川で溺れ、死にかけた。


…助かってなかったら私の責任になっていたのだろうと思うと今でも震えそうになる。


そして溺れた川の中から引き上げてくれたのが青い髪の少女だった。

シエルは溺れかけていて意識は朦朧としていたし、私は私で森の中で失神していたらしいので、シエルが見た”青い髪の少女”の存在を認めるものは他にいない。

なにせ”青色の髪”なんて、御伽噺の聖女様以外ありえないのだから。

でも勇者が覚醒したことからあながち本当に聖女様が助けてくれたのかもしれないと信憑性が出てきたのだ。


実際その事件があってからのシエルの体調には目を見張るものがあった。

川に落ちてびしょ濡れになったなら、すぐにでも熱を出すはずが熱が出なかったり、ピクニック程度の運動がハイキングに、登山に、果てはクライミングにと運動が人並み以上にできる体に成長したりと、主治医にも奇跡と言わさしめた変貌ぶりである。


そしてここにきて勇者覚醒。

シエルには助けてくれた少女が聖女様であると疑う余地は無くなったと言うことだ。


いくら探すも見つからず、両親に頭を下げて貴族の力を使い、騎士団入隊後にはその権限をも使い、探したが手がかりはシエルの記憶の中にしかない。


「何度も言うけど、見間違いじゃない?川の水がが反射したのよ、きっと」


ふうと息を吐いて肩を上げ、茶化すようにだが本気で言うと、


「あの青色は見間違えようがない。必ず彼女は実在する」


俺が証明する。と、いつも空色の瞳がまるで青い炎のように熱を宿していた。

あれ、まだ主人公名乗ってないな。

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