突然の訪問
「あ〜元気そうだねぇ。話があ」
「ストーーーーーーーップ!!!」
私への訪問者は突然にしか現れられないのか!
あの日、結局2人は夕飯を食べた後、泊まることなく帰っていった。
ちくりと痛んだ胸を知らぬふりして笑顔で見送り、一人になった自分の部屋のベッドで、月の明かりが差し込む窓に背を向けて、夜闇の暗さに意識を沈めた。
ウジウジしてても、今日も今日とて日常は続く。生きていくだけでお金がかかるのは前世と同じである。
「そろそろまたメイシスのお店に売るポーションを作らなきゃ」
季節は秋の深まる頃、最近は夜風が冷たくなってきた。木の葉が色づき、山よそおうとはまさにこのこと。
ちょっとした観光客が来るくらい美しい季節であり、また、実りの最盛期であるが、実や種が薬になる物の収穫量に反比例して葉物の薬草の収穫量が減るので、いつ今年最後の薬草採取になってもおかしくない。
「ついでに色々と買わなきゃなぁ」
温暖な地方ではあるものの、山村であるセレスト村もヴァイスネージュほどではないにしても冬は雪に閉ざされてしまうため、冬に備えてもろもろの準備が必要である。食料や寒さ対策、雪から家を守るための魔法など、冬支度を欠くことは命の危険を伴う。しかも老人の多い過疎の村なので若者の手が必要な時も多いが、力仕事はもっぱら男性が請け負うので、村娘たちは買い出しや寒さ対策の衣類の用意が主な仕事になる。特に私はローサルジュに伝手があることや空間魔法の込められたバッグがあることから買い出し担当だったるする。
「えーと、肉類は冬場でもある程度獲れるから、栄養のことも考えると葉物野菜かな。バッグに入れておけば鮮度も保てるし、できるだけ買っておこう」
村長から預かった金額を思い出しながら、どれくらいの量買えるのかある程度の目処をつけておく。村人が少しずつ出し合ったお金であるし、少しでも大量に、安く購入できるよう頑張らねば!
とりあえずは自分の食い扶持を稼ぐため、薬草採取に向かおう。
私が作る体力を回復するポーションの主な材料はキエズの実、ゲジュムンの根とユールの葉の3つ。キエズもゲジュムンも一年中取れるのだけど、ユールの葉は秋の終わりには落葉してしまうため、できるだけたくさん集めておかなければならない。
カゴを背負って家を出ると、近くにある広場には散歩や仕事で外に出ている人がちらほらと。今日はカラッと晴れて気持ちいい。ほら、猫も散歩をしている。あ、こっちにきた。かわいいなぁ〜、と思った瞬間、冒頭に戻る。
心臓に悪い!
ほのぼの終了のお知らせです。




