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秘匿


 トパズ伯爵家は国内で比較的新しい貴族の家柄である。

元々は小さかった領地が大きくなり始めたのは300年程前で、今では国で2番目の大きさである伯爵領は、南北に広がり気候の変化が大きく、農業や工業、観光業までさまざまな特色のある町があり、豊かな地域である。

伯爵家と領民との関係もよく、仕事上の有能さも相まって王の覚えも良い、らしい。


 寝室の掃除を終え、しまってあった布団一式を運んでくると、手早くセットしていく。

枕が少し固くなっている気がしたので窓を開けて日の差し込む場所に椅子を出し、そこに枕を置いてポフポフ


 干している間にと始めた床の掃き掃除で、改めて屋内の広さを思い知る。

この屋敷を使っていた時とちがい、今はほぼ使っていないためあまり家具や装飾品が残っていないのもあって殺風景なシエルの部屋。


「そう言えばこのシェルフは残っているんだなぁ」


 ベッドの横に置かれたシェルフは以前は棚の上にたくさんの写真が飾られていたものだが、片付けられてしまっている。

全部で3段の引き出しがついていて、1段目にはたびたび熱を出していたため解熱の薬を入れていたはず。

2段目はタオルだったと思うのだが、一番深い引き出しになっている3段目に何を入れていたか記憶にない。

というか、見たことあっただろうか。


「なんだったかな…」


 興味本位に開けてみようか。

どうせ何もないのだろうが、一度気になってしまうと知りたくなってしまうのが人のさが。

この家の管理も任されているし、開けて怒られることもないだろう。


「失礼しまーす…」


 一応お断りして(誰もいなくても気持ちが大事)一番下の引き出しに手をかける。

グッと取っ手を引っ張ると、指に金属が食い込む感覚。しかし、引き出しは開かない。

表面に鍵穴がないので鍵がかかっているわけでもない、けれどピクリとも動かない引き出しは何かが引っかかっているわけでもなさそうである。


「魔法で封印されている?」


 一体何のために?いつ施されたものなのだろう?

疑問に思うものの、人の家の人の部屋であるからして、詮索するのは良くないだろう。

後ろ髪引かれる気持ちはあるが、シエルも年頃の男性だ。隠したいものの一つや二つ、あるのかもしれない。


 モヤっとした気持ちを誤魔化すためにもついでに他の部屋の掃除もしてこよう。

パタンとシエルの部屋のドアを閉めて、久しぶりに客間の掃除をしようと思いつく。

毎度掃除するのはシエルの部屋と奥様の寝室、リビングくらいなので、客間の掃除は半年前くらいにやったのが最後だろうか。

家が近いのにお泊まり会をしたいというシエルの願いを受けて何度か泊まった時に使わせてもらったこともあるが、私以外に使った人がいるのか定かでない。

ドアノブを握りガチャリ、と部屋に入る…はずだった。


「開かない…」


 シエルの部屋のシェルフ同様、この部屋のドアノブもピクリとも動かない。


「どうして?」


 半年前には空いた部屋が開かない。知らぬ間に、何が隠されたのだろう。

胸中のモヤモヤが大きくなるのを感じる。

シエルは何を隠しているのだろう。

お久しぶりです。また仕事に体力持ってかれてました。

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