不明
「ってことなんだけれど。おかしいと思う」
悶々と数時間考えて出した結論は、そうだ、簡易神殿作ろう、だった。
誰にも話さないで1人で抱え込んで解決できるほど私の頭は賢くないのは前世で学んでいる。
初めて聖女の力を使った時は簡易というより急拵えのものだったけれど、今回は自宅の空き部屋に小さな祠みたいなものを作り、ご神体として水晶(川から拾ってきたもの)を4つ入れる。
あとはそれを神様たちの代わりだと自分に言い聞かせて祈ることで無事簡易神殿が完成したのだ。
ただし、これには欠点がある。
『聖女の治癒は絶対。頭部を治癒しなかったのなら、記憶がなくなるほどのダメージはないはずよ』
クラリスティの声が聞こえるものの、姿はない。
どうやらこの簡易神殿では神域に召喚できないらしく、祠の中のご神体から声を出したり、遠隔で髪の色を戻したりくらいしかできないらしい。
ちなみに残りの2人はデュカットの治療?中であるらしい。
「そうだよね…ってことはやっぱり考えられるのは2つ、か」
①レットが嘘をついているということ。
②何者かがレットの記憶を消したということ。
どちらかだが確かめるのが難しい難問である。
まず①の場合、嘘をついてるかどうか、騎士団の小隊を率いていたシエルがわからないわけがない。
だが、シエルを欺けるほどというとユニークスキル持ち、または身近にそういう人物がいるということだ。
残念ながらそれを看破するようなスキルを私は持ち合わせていない。
そして②になると、行使された魔法の残滓から誰のものか特定することはとっっっっっっっても難しい。
人の記憶を消すことができるユニークスキルを持っていたとして、周りの人に知られたらデメリットしかないスキルを持っていることを誰かに話したり、報告したりはしないだろう。
一応国内ではユニークスキルの存在が分かり次第届け出る義務があるが、届け出る人なんて数少ないユニークスキル持ちの中のさらに一握りである。
その届け出ている風変わりのうちの1人がメイシスですけど…
『確かめに行く?』
行きたい気持ちは山々だけれど行ったところで手も足も出ない。お手上げである。
「それに、レットが嘘をついていたとしても、誰かが記憶を消したにしても、目的がわからないわ」
一番不気味なところはそれである。
なぜ、そんなことをする必要があるのか。
聖女が邪魔なのか、存在を隠したいのか、わからないことだらけである。
「厄介なことにならなければいいのだけれど」
私は平穏な生活を送りたいだけなのに。
ほのぼの好きです。でもしばらくほのぼのしたら終わろうと思います。




