冒険者ギルド
「この町からさらに北にあるビアンカ雪渓に行った冒険者の行方不明者が増えていて、何かしらの魔物のせいじゃないかと勇者に調査依頼を出したらしい」
ビアンカ雪渓にはビアンカティガやストライプディアなどの美しい毛皮を持った魔物が数多く生息しており、毛皮を目当てにした討伐依頼が例年たくさん来ていた。
雪の積もる時期になると討伐依頼を受けるさまざまなランクの冒険者でこの町も活気付くのだというのだが、ここのところ討伐に行って戻ってこない冒険者が増えていたのだという。
なるほど、もしかしたらこれが神様たちが言っていたスフィアトルの被害なのかもしれない。
「そうですか。貴重な情報ありがとうございます」
掲示板から適当に、薬草採取の依頼書を剥がしてそそくさと冒険者ギルドを出ようと、
「今山に入るのは危険だよ。Cランクの冒険者にも被害が出てるって話さ」
「Cランクが?」
冒険者ギルドに登録している冒険者にはいくつかのランクわけがある。
試用期間のGランクから始まり、およそ1年かけてFランクに上がるものがほとんどである。
ランクを上げるには試験があるわけではなく、依頼の難易度によって付与されるポイントを規定値まで貯めることでランクアップすることができる。
冒険者を志すものならだいたい10代前半には冒険者登録を行い、薬草採取やレベルの低い魔物の討伐でポイントを稼いで20歳になる頃にはDランクに達していれば腕の良い方だ。
ちなみに私も冒険者登録をしていて山育ちの身体能力とある程度の戦闘スキルがあるためEランクの冒険者として依頼を幾らか受けている。
Cランクともなればある程度頼りになる存在であるのだが…
事態は案外深刻なのかもしれない。
「それは困りましたね…宿に泊まるにもお金がかかるのに」
「俺もCランクだし、良ければ守って…」
「まあ、なんとかします」
にこっ!と続きを言わさぬよう笑みを向けて華麗にスルー、さっさとギルドをお暇する。
「なにか山に入るのにいい方法ないかな…」
勇者御一行が来る前になんとしてでも早くスフィアトルの情報が欲しい。
でも今の状況で山に入ろうとすれば危険だと止められてしまうか怪しいやつだと目をつけられることになるだろう。
ぐううぅぅ〜
「う、こんな時でもお腹は正直だなぁ」
しかたない、腹が減っては戦はできぬ。町の食堂にでも早めの昼食を食べに行くことにしよう。




