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出発


「デューに神力を送って回復させるって話をしたでしょう?」

「でも毎日ってわけではないし…」

「領域に入ったら外からの呼びかけが聞こえないんだからぁ」


 オルカラーンとクラリスティのゆるい言い合いが続く。

なんとか私を助けようとしてくれる2人に思わず笑いが込み上げる。


「2、3日なら隠れてやり過ごすことができると思う。それよりデューのことが心配なんだけど、どうして倒れたの?」


神様が倒れるなんて、よっぽどのことであろう。


「ここのところ魔物の活動が活発で、変異したり凶暴になったりすることが多くてな…不休で調整しておったようじゃ」


 デューは他の3人と違って寡黙な神様だ。話もこちらが一方的に話すが関心がないのではなく、口下手なだけで温かく見守ってくれているのを感じる。

自分にしかできないことを抱え込んでしまったのだろう。

この世界の神様はこの世界に生きるものを愛しているからこそ、頑張りすぎているのかもしれない。


「なおさら私も頑張らなきゃね」


 魔物の発生、さらには成長の元になる瘴気の発生を断つことで魔物を弱らせ、滅する。

私にしかできないことだ。


「まずはどこの瘴気を抑えるべきかしら」

「それならばヴァイスネージュに行くといい」

「ヴァイスネージュ?」

「あそこにはスフィアトルの変異が起きているとデュカットが言っておった」


 ヴァイスネージュ、名前を見たことがある気はする。これで行き先は決まった。


「そこには神殿はあるの?」

「小さいやつが町からちょっと離れた場所にあったはずよ」


 クラリスティの言葉で計画プランを立てる。


「じゃあ、髪の色、一旦戻してくれる?」

「うん、気をつけて。できる限りリリィを見守るよ」


 スイッと手を動かしたオルカラーンに、視界に映る髪の色が戻ったことを確認する。


「この場所からそのままヴァイスネージュの神殿への道を開こう。あちらは人間にはちと寒い、防寒具も着た方が良かろう」


 首元がくすぐったいと思ったら、白いマフラーにコート、ブーツ。

創造神謹製の防寒具なんて、ものすごい機能でもついていそうだ。

頭にかぶった帽子をさらに目深にかぶる。


「よおっし!さっさと終わらせて、のんびり平穏ライフを送るぞ!!」


 拳を振り上げ気合を入れる。

神殿から神殿に転移させてもらうのだ、旅程が短くなるし、聖女にはまだ世間に知られていないちょいチートなスキルもある。

世界の平和のため、ゆくゆくは私の目的のために、瘴気の発生を抑えに行きますか。

それぞれ神様は世界のためにやることがたくさんあるのです。

人の営みに任せてばかりでは全体の繁栄になるとは限りませんからね。

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