魔力温存
シエルがここにいるのはいくつかのスキルの組み合わせをしているからなのだけど、緑の鳥を私がいるところまで移動させるのに”視覚共有”と”意思疎通”、これはテイマーが取得することの多いスキルだ。
きっとジルコニアの森にいたこの鳥と意思疎通し、この遠い地まで視覚共有で誘導したのだ。
最後に”チェンジリング”という高度な転移スキルを使用し、鳥と自分の位置を入れ替えたのだ。
結構魔力を消費するスキルだと思うのだが、レベル上げ中に何をやっているやら…
「なにか用事?」
まだ手を振り別れてから2日経っていないのだが。
「リリィにこれを渡そうと思って」
懐から取り出されたのは先程の乗合馬車でも渡された呼び出し石に似た色をしている。
といってもサイズが両手で丸を作ったくらい大きく、平べったい形。それが二つ。
素材は石だし、ずっと持っていたら腕がだるくなりそうだ。
「これなに?」
「こう使う」
一つを私に持たせたと思うともう一つに向かってなにか呪文を唱える。
重そうだと思っていたけれど、見た目と材料の割に軽いのが不思議な感覚である。
そんなことを考えていると、次の瞬間私が手に持っている方がチリンチリンと鳴り始める。
まさか。
「聞こえるか?」
『聞こえるか?』
二重で聞こえたシエルの声に、こっちの世界版の携帯電話だ!!!と少し興奮。
しかも表面に相手の姿が映る。テレビ電話だ!!!と大興奮。
「えっ!すごい!なにこれ?」
「呼び出し石を改良したものだ。パーティーのメンバーに魔道具作成のスキルに明るいものがいたから作らせた」
こんな高度な通信手段、売ったら一体いくらの価値になるだろう…
思わず値段の計算をし始めた私に、
「ペアとなる石としか対話はできないから売れないぞ」
と、冷めた一言が…別に売るつもりなんて………
「目的を果たしたから今度は北の山岳地帯に向かうんだ。セレスト村からさらに離れるし、チェンジリングにかかる魔力を残して戦うのも難しくなる。これから連絡はこの石で取ろうと思う」
…いろいろツッコみたいところがあるがまず、
「こんなことに使う魔力温存しながら戦うバカがどこにいるのよ!」
スパーンッと手のひらで金色の髪が輝く勇者の頭を叩いたのだった。
お腹空きました。
夢中で書いてたらお昼を逃しそうなので、一旦連投終了になります。




