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看板娘


「おかえりなさいっ201号室ですね!もう1時間ぐらいで夕飯ができますよ!」


 元気な受付の女の子に癒される。

 この街に来る時はだいたいこの宿に泊まるので、常連のため、顔パスというか、顔見知りなのだ。


「フィムちゃん。今日の夕ご飯はなあに?」

「今日はヴェルデムの有名ないい魚が手に入ったので、魚料理の予定ですっ」


 ヴェルデムはローサルジュよりさらに西にある大洋に面する港町で、さまざまな魚介で有名だが、中でもキングクーゲルという魚型の魔物が獲れることで有名な町だ。

 元の世界でのフグのようなもので、丸々としたボールのようなフォルムこそ愛らしいが大きさは4、5メートルあり毒を吐いて攻撃してくるのが少し厄介だが、レベルも低く、頭の部分に衝撃を与えられればすぐに気絶して簡単に倒せるほど弱い。

 体の中の毒袋を傷つけずに取り出せば、大きさの割に大味でない美味しい白身がたくさん手に入るので、この魚を専門にする漁師(冒険者)がいるくらいである。


 魔物の肉には魔力の回復を期待できるため、これはご馳走だとますます気分も上がるというものである。


 自室に入り、ベッドにによっこいしょと座るとガラスがコツコツと小さく叩かれるような音がする。

ベッドの向こうにある窓のほうを振り返ると緑色の鳥が窓枠にちょこんと佇んでいるのを確認し、ため息をつく。レベル上げの旅に出ているのではなかったか。


 仕方なく窓を開けるとふわりと鳥が入ってきたかと思うと次の瞬間パッと姿を変え、目の前には無表情のイケメンが、勝手知ったるというふうに私のベッドに腰掛けていた。


「リリィ、ローサルジュに来たのか」

「いやいやいや、第一声それ?というかジルコニアの森にいるんじゃないの?こんなことしてて大丈夫なの?」

「問題ない」


 すん、とすました顔して言ってのけるこの男、勇者アンシエル・トパズに少しの苛立ちを覚える。

私がこの宿を好んで使っていることを知っていることもあり、今までもこのように訪ねてきたことがあるので、そこに関してはとりあえず問い正すことを諦めた。

 しかし、今、彼はレベル上げのため、高レベルの魔物があまり出ないとはいえダンジョンにいるはずなのだ。

勇者をひとりダンジョンに行かせるなんてことを国の要職につくお偉いさんがすることはないはず、きっと魔物討伐に携わるパーティーメンバーが一緒にいたはず、なのだが。


「少し出かけると書き置きを残してきた」


 それ、問題なくないから。

久しぶりの勇者登場。

なんだかどんどんボケ担当に…

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