取引成立
「ほら、買取金だよ。下級ポーション15本を大銅貨5枚と中級ポーションを5本で銀貨1枚ってところだね」
「え。そんなにもらっていいのっ?」
この世界のお金は大体が硬貨で、銅貨10枚で大銅貨1枚。大銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨10枚で大銀貨1枚。大銀貨10枚で金貨1枚と言ったような感じである。
昼食用に買ったフィッシュフライのサンドが銅貨5枚だったので、だいたい日本円で考えるなら銅貨1枚が100円くらいと考えていいと思う。
下級ポーションの価格はほとんど変動がないが、中級ポーションの買取価格がこうも高いとは驚きである。
「お得意先にはある程度おまけするもんさ。リリィのポーションは人気だからね」
「そうなんだ?まあ、これからもご贔屓に!」
一気に懐が温まり、ほくほくしていると、
ギイィィィイイ…
断末魔のような音が響き、表のお客様用の扉が開いたのを店主に告げる。
このお店に客が入ってくるのを見るのは初めてだ。
いつも客足はなく、こんなに金払いもいいメイシスに、店の経営を心配したほどである。
「ちょっと待ってな」
店先に向かったメイシスを見送り、流石にこのまま出ていくのも良くないかと彼女の帰りを待つことにした。
何かを話している声が聞こえるものの、聞き耳を立てても何を話しているかまではわからない、このもどかしい感じ。
しなくてもいいのになぜかこそこそと店に続くドアに近づいていく。
ついつい好奇心から、この店に来るような”変わり者”の顔を見たくなったのだ。
「まだ入荷してないのか!?」
「あんな噂話を信じているのかい?おめでたいおつむだね」
ドアを開ける時、キィッと音をたててしまったため、やべっと思ったのも束の間、男の人の怒鳴るような声に、メイシスの小馬鹿にしたような返答がはっきりと聞こえてきた。
なんだかお客の方が怒っているようだ。
「俺は実際に見たんだ!あれは奇跡の力だ。あの冒険者はこの店で買ったと言っていたぞ」
ふむふむ、どうやらこの店で売られていたという薬を服用する様子に奇跡を感じたこの冒険者の人だが、この店にあると思った薬がなくて怒っているようだ。
それにしても奇跡とまで言わさしめるその薬、いったいどういう物なのだろう。
ようやく中級ポーションが作れるほど薬草調合の熟練度が上がったのだ、自分もなんらかに薬を創作してみたい。
再びキィッと音を立ててしまった扉を背に、どのような薬を人が求めているのか、その薬を実現するためにどんな薬草使うか、儲けとしてどれぐらい自分の手元に残るのか、まさしく取らぬ狸の皮算用である。
もっと上手に会話させたいですね。作者コミュ障につき無理な話ですが。
初めての評価に思わず飛び跳ねました。ありがとうございます。




