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休憩の町

 到着したアイオーラムの町は、多くの馬車や馬が停められ、市街地までの休憩地として結構な人気を博している町のようである。

 素泊まり用の簡易的な宿屋や歩移動しながら片手間で食べられる軽食屋さんなど、立ち並ぶお店も町の人用というよりは休憩に訪れる旅人用の店がほとんどを占めているようだ。


「時間になりましたらこちらの石で伝えますので、お集まりください」


 そういって乗客たちが運転手さんから石を手渡され、みなはそれぞれの用事を済ませるため人ごみの中に消えていってしまった。


「さて、私もご飯を買いに行こう」


 手に持っていた石を首にかけ、私も人で賑わう町の中へと繰り出していく。

町を歩く人の中には私と同じ黒い石を首にかけた人がちらほらといて、中にはチカチカと光を放ち、チリンチリンと音を立てるものもあった。

この石は魔道具で、”呼び出し石”という。

親となる石に魔力を通すと子となる石が光ったり音を出すもので、一方的に合図を送るときに用いられるものである。

遊びに行く子供に持たせて帰りの時間を知らせるために使われるなど、割と一般家庭でも使われているもので、中には子の石からも連絡できるものもあるが、そちらはもう少し値がはる。


時計は高価なもののため、個人で持ち運びできるものを所持している人は一握りである。そのため待ち合わせ等にはこのような道具が使われる。

初めて見た時にはキャアキャアと騒いでしまったな、と今更ながら少し恥ずかしい。


キョロキョロとお店を見回し、安くてなおかつ食べやすく、欲を言うなら美味しいものが食べたい。


「いらっしゃい!今人気の一口サイズのフィッシュフライだよ!おいしいから食べてごらんよ!」

「フィッシュフライをパンに挟んで食べ歩きにぴったりだよ!」


この町では川魚が名物らしく、どのお店にもその魚の料理があるようだ。

地元の特産品を食べるのもいいかもしれない。


「フィッシュフライのサンドをひとつください」

「へい!毎度あり!お嬢ちゃん、市街に行くのかい?」

「はい、ちょっと用事で」

「そうかいそうかい。今は勇者の覚醒にお祭り状態だよ。楽しんで!」

「どうもありがとう」


ここでも勇者の話を聞くとは。我が幼馴染様はどこに行っても話題の中心にいるようだ。

包み紙の温かさを手に感じ、幼馴染が置かれた現状を思いぼんやりしていると、ちょうど良く呼び出し石がポッと灯が灯り、チリンチリンと音を立て始めた。


休憩はおしまいらしいと、急ぎ馬車に向かうのだった。


そろそろ市街に到着します。

先延ばしにしてきたけれど、街の名前を考えねばなりません。

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