17話 復讐の始まり
「よう。兄ちゃん」
マフラーを外しボロボロのマントと仮面を付けて廃村に入ると荒くれ者の1人が声をかけてきた。
この村の村長だ。
今日来ることは伝えてあったので待っていてくれたらしい。
こいつらと出会ったのは少し前。お互いの利益が一致したため協力することにした。
「首尾は問題ないか」
「あたぼうよ」
「ならば村人を集めてくれ」
「おうよ」
今日ローエンの村を襲う。
そのための人材を集めていたところこの村に辿り着いたのだ。
「集めたぜ兄ちゃん」
そう言われたのでここに集まった荒くれ者共に目をやった。
30人はいるか。
それを確認してから全員に聞こえるくらいの声を出した。
「ついてこい」
歩きながら今回の作戦についての説明を始める。
内容はこうだ。
これから向かう村には金銀財宝(嘘)が眠っているから襲撃して奪う。
そのために協力してくれといったものだ。
「ひっひっひ、それにしても金銀財宝なんて何年ぶりだろうな」
荒くれ者共がそうやってワイワイ騒ぎながら向かう中俺は口を開いた。
「村にいる連中には何をしても構わない。放っておけばかなりの量の死人が出る」
「へっへっへ、そうこなくっちゃな」
男たちはそう言いながら俺に着いてくる。
育てている違法な植物を燃やしながら真っ直ぐに教会に向かう。
ここにいる浮浪者は全員教会で過ごしているため周りの家には興味が無い。
そうして俺は教会の扉を開け放った。
「な、何?!」
中にいた浮浪者が驚いた顔をして一斉にこちらに目を向けた。
「何事ですか?!」
それにはローエンも反応していて、彼はそれを見て武器を抜いたがその瞬間
「ひゃっはー!!!!!!」
俺の背後にいた荒くれ者共が中に入っていった。
そして
「ぎゃははははは!!!!!!」
その手に握ったナイフや武器を振り回す。
その結果
「うぎゃぁぁぁあぁぁ!!!!」
肉塊ができ上がる。
逃げ惑う人々。
「く、来るな!!」
おっさんが壁際に這いずっていっているのが見えたが
「死んでくれよおっさん!」
荒くれ者2人がかりで1人のおっさんに手をかける。
「た、助けてくれぇぇぇ!!!!」
「や、やめなさい!!!!!」
叫び声を上げるおっさんに近付こうとするローエン。
「ぎゃぁぁぁああ!!!」
ローエンは無事にその2人を薙ぎ払ったが別の場所では
「ひーはっはっはっはっ!!!!」
また別のおっさんが手をかけられようとしていた。
「くそ!手が回らない!」
ローエンが叫びながら奔走しているのが見えたため
「………」
「や、やめなさい!」
俺はローエンを羽交い締めで拘束した。
左手でその首元にナイフを突きつけて耳元でドスを効かせた小さな声で囁く。
「今宵ここに神はいるか?」
「やめて!やめてくれぇぇえ!!!!」
「へっへっへ」
男たちが無慈悲に残酷に、こいつの穢れた未来を奪う姿を見させて神の在り処を問いかける。
「あ、あぁぁぁぁ………」
横からチラッと見えるがその目からは涙が出始めていた。
しかしそれでも
「い、いますよ………我らの主はここにある」
気丈に振る舞う神父様。
「残念だ。お前の神はいない」
俺がそう言った瞬間
「ひゃっはー!!!!死ね死ね!死ね!」
「やめてくれ!」
男たちがその斧を振り上げておっさんを殺した。
「あ、あがが………」
神父の足から力が抜けていく。
最早俺が締めていなくてもこいつは動けないのかもしれない。
俺が手を離すとズルズルとその膝を地面に付けた。
「………」
それを見た俺は1人でまだまだ地獄の続く教会を1度出る。
そして人に見つからない場所で仮面と服を着替えて教会に戻った。
戻りつつ脇腹にナイフで傷を付けておく。
これは後で役に立つはずだ。
そしてまだ俺の登場に誰も気付かない中
「ぐぁぁぁぁぁ!!!!」
1人の荒くれ者を剣で首を切り落とし殺す。
「………」
その行動で若干名だったが反応を示した。
「な、何だお前!」
村長が口を開いたが
「………」
無視して疾走するとその首をたたき落とす。
それを続けて残った荒くれ者共を全員殺す。
一通り終えて残ったのは人だったものと血の海だった。
生きているものは俺とローエン、他数名の浮浪者だけになっていた。
「………うぐっ………ヴォエェェェ………」
その光景を見てローエンは四つん這いになって体の中のものを吐き出した。
「遅くなって悪かったな」
その様子を見ながらいつもの調子に悲痛さを織り交ぜながらそう声をかけた。
俺も改めてこの血の海を見たが酷いものだった。
だが、しかし
「ヴォエェェェ………ヴォエェェェ………」
尚も吐き続ける神父様を見ていると内心笑いが込み上げてくる。
どうやら、俺と同じ景色を見たらしいな。
いや、まだ足りていないか。
そう思いながら俺は膝を折るとローエンの左肩に手を置いた。
しばらく待っていると口を開いたローエン。
「………リオン、ですか」
「あぁ。帰ろうとしていたらあいつらがこっちに向かうのが見えてな、だが遅かったな。悪い。仮面の男に時間を取られてな。しかも逃げられたよ」
その言葉で俺の脇腹を見て何かを察したような顔をするローエン。
「い、いえ………敵討ちありがとうございます」
頑張って気丈に振る舞うローエン。
その瞳からはボロボロと涙を流している。
「あぁ………どうして………彼らに何の罪が………」
罪しかないだろう?
あの量の植物だ。麻薬としてバラまかれたらいったい何人の日常が壊されたか分からない。
「とにかくここは危険だ」
そう言うとローエンに肩を貸して立ち上がらせる。
「それにまだ全員じゃない」
そう言うと隅の方に目をやった。
そこから顔を出したのはクロエと、生き残った浮浪者。
「リ、リオン殿………」
クロエは俺の名を呼び
「ローエン………」
浮浪者はローエンの名前を呼んで俺たちの近くに駆け寄ってくる。
それを見たローエンが言葉を漏らす。
「まだ残っているものが………」
そう理解しているものの
「ははは、これは現実なのか?」
心は現実を受け入れていなかった。精神が壊れ始めている。
「早いところ王都に戻ろう」
ひとまずローエン達を連れて王都に帰還することにした。
とりあえずのところはこれでいい。
だからローエン。
まだ終わったと思うなよ。
こんなものまだ序章だぞ?
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