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14話 防衛作戦と更に信頼させる

 俺たちは防衛作戦に参加するために王都の北側にある砦まで移動してきていた。

 とは言え俺たちが今立っているのは見渡す限り荒れた荒野が広がる大地だが。


「君たちはここでワイバーン達を迎え撃ってくれ」


 そう説明するのはギルドマスター。

 俺たちに任されたのは砦の外だった。


 大雑把に説明されたが俺たちのような砦の外にいる人間は襲撃してくるワイバーンを下から狙う立ち回りを求められている。


 ワイバーンのような飛ぶ敵が相手なら全員砦の屋上に登りそこから矢を撃てばいいのではと思っていたがどうやら襲撃してくるのはワイバーンだけでなく、ゴブリンやオークなどもいるらしい。

 だからこそこうして下である程度捌けるようにしているらしい。


「なぁ、リオン」

「?」


 隣に立つヒュオンが声をかけてきたので無言で顔を見た。

 その顔は何故か嬉しそうなものだった。


「どっちが多く倒せるか競わねぇか?」


 と、ヒュオンがそう言うと


「おいおいおい」


 そう言って笑い出す男がいた。

 同じ役目を与えられたパーティの剣士だった。


「ヒュオンそいつの冒険者ランク分かって言ってんのか?可哀想だろ、そんなこと言っちゃどうせヒュオンが勝つに決まってる」


 ガハハとそう言いながらヒュオンの肩を組む男。

 俺は何も答えずに立っていることにした。


 別に必要以上に無駄口を叩くつもりもない。


「俺も知ってるがそいつらのパーティは攻撃役の賢者が優秀なだけでそいつらは大したことねぇよ」


 そう言ってくる男に対して


「俺もそう思ってたがこいつはやばいよ」


 そう言い返すヒュオン。


「は?」


 男がそう返したその時だった。


「モンスターが見えたぞ!」


 砦の上からギルドマスターの声が聞こえた。

 その声に色んな声が続く。


「みんなー武器を構えろ!来るぞ!」


 その声に俺も真正面を見るとかなりの量のモンスターが駆け寄ってきていた。

 距離のせいで今は豆粒程度の大きさに見えるが。


「うぉぉぉぉ!!!!これでもくらえ!!!」


 と砦の上には弓を構える者がいたが


「やめろ!ギリギリまで引きつけろ!」


 と俺たちと共に下側にいるギルドマスターに叫ぶような声で言われていた。

 確かにそうだ。


 この距離から当たるわけが無いから無駄な攻撃はしない方がいいのだが、逆を言えば当たればいい。


「………」


 俺は無言で剣を取ると、モンスター達に向かって歩き始める。


「リオン?」


 そんな俺を見て声をかけてくるギルドマスターを無視してティアラに目を向けると、彼女も頷いて同行してくれる。


「な、何をしている戻れリオン、単独行動をするな!フォローの出来る位置にいろ」


 そう言われるが俺は言い返す。


「フォローなら届く」


 そう言うと俺たち2人は時間を稼ぐために走り出す。

 何か言う声が聞こえるが無視して遠く、豆のように見えるモンスター達に向かって走る。


 聖女リーナの力によって強化されている俺たちの足はかなり早くなっていた。


 そうしているとやがてモンスター達との距離が縮まる。

 それに向こうも走ってきていたので接触はかなり早かった。


「ギィィィィィィ!!!!」


 1匹のゴブリンが雄叫びを上げるとそれに続くゴブリン達。

 そして叫びながら俺たちに斬りかかってくるが、何匹ものゴブリンの攻撃を避けてひたすら一方的に斬りつける。


 やることは斬るだけ。

 やがて、そうして俺達だけで50匹程切り伏せたところで


「ティアラ」

「はいです」


 周りには俺たちしかいない。

 ティアラと好き勝手に暴れていると魔法の兆候を感じたので全力で下がる。


 その前に最後の一手を忘れずに権能でとある細工をしておく。このあとヒュオン達と更に信頼関係を深めるために使う。

 そうしながら戻ったところ


「す、すごいな………」


 ギルドマスターがそう言っているが凄いのはここからだ。


「エクスプロージョン強化しましたよ!エリー!」


 リーナがそう声をかけたその瞬間。


「エクスプロージョン!」


 エリーが魔法のエクスプロージョンを使った。

 瞬間、ドカーン!!!!


 俺たちが足止めしていた甲斐もあったため小さめの岩程度に見えたモンスターの群れの中心で大爆発が起きた。


 爆煙が上がりやがて煙が晴れたそこは


「………」


 誰もが息を飲むような光景が広がっている。

 地面は抉れ周囲の小さな丘なども全て消滅していたのだ。


「………」


 誰もがポカーンと口を開けることしか出来ないような光景だった。

 そんな中だったがやがてギルドマスターが口を開いた。


「なっ………何だこれは………」


 震える口でそう漏らした。

 そして


「エクスプロージョンは強力な魔法だがその分制御が難しい、特定の場所を狙って使うなら熟練の冒険者でも数百メートルが限界だと言われている高等魔法だ。それを………この何キロメートルも先の敵に狙って正確に当てる………?しかもあの規模の魔法を?」


 空いた口が塞がらないような感じでそう口にしたギルドマスター。


「しかもそれを詠唱破棄の無詠唱だって………?」


 ギルドマスターがそう口にした瞬間、止まっていた時間が動き出すようにこの場はざわめきを取り戻した。


「す、すげぇぇぇえぇぇぇぇ!!!!!」

「あのエクスプロージョンをこの距離から成功させるなんて何者なんだ?!あの子!」


 そんな言葉が次々に聞こえてくる。

 そして


「え?ちょっと?」


 困惑するエリーの周りには人が集まり始める。


「い、今のエクスプロージョン教えてくれませんか?!」

「すげぇ、どうやったんだ?!今の?!」


 賢者だろうか。あの魔法がどれだけ難しい技術なのかを知っている連中が詰め寄っていた。

 だがしかし驚いたような顔をしていたギルドマスターは俺に目を向けてきた。


 そして口を開く。


「君たちはいったい何者なんだ………」

「………」


 俺は無言を貫く。


「答えてくれないか?あんな魔法おかしい。何もかもがおかしい。あんな魔法を使えるなら………」


 そこまで言いかけた時


「それよりもあれだ」


 俺はそこでようやく口を開きさっきモンスター達を倒した方向に目をやった。

 抉れた地面の先に目をやる。そこには


「なっ………あ、あれは」


 そいつはそこに立っていた。

 その声を聞いてヒュオンも俺の横にかけよってくる。


「け、ケルベロスだと?!」


 そこには地獄の番犬と呼ばれるケルベロスが立っていた。

 俺が仕込んだものが立っていた。


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[一言] 復讐ものはスピード感が命だよなあ
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