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13話 仲間だと思い込ませ裏切る

 翌日。

 防衛作戦の作戦会議が行われることになったのでギルドに移動して作戦について話を聞いていた。


 そしてそれを聞き終わったあとに


「なぁエリー」


 同じ作戦に参加するため、同様に話を聞きに来ていたヒュオンがエリーに話しかけた。


「どうしたの?ヒュオン」


 俺以外には変に様付けしなくていいというのはエリーやリーナに伝えてあるため名前を呼ぶ時は普通に呼ぶようになったし何処にでもいる女の子みたいに2人はなっていた。


「俺ら防衛作戦は同じ場所の担当だし連携力鍛えるためにもこれからちょっと依頼に行かないか?」

「いいよ」


 ヒュオンからのこういった依頼についてはあまり断らなくていいと伝えてあるのですぐに快諾する彼女。


「ありがとな」


 そう言ってヒュオンはエリーを連れてクエストボードを見に行く。

 残された俺たちだが


「ね、あなた聖女なんだよね?」

「は、は、は、は、はい!」


 マーニャがリーナに話しかけていた。

 リーナはあまり話しかけられることに慣れていないのか少し戸惑い気味だが。何とか返事を返す。


「そんなに硬くならないでいいよ」

「は、はい!」


 と言われても尚硬そうなリーナ。


「あなた達のパーティ結成して間もないって聞いてるからちょっと色々教えてあげようかなって思ったんだけど今からちょっとお話しない?」

「は、はい!よろしくお願いします!」

「そうこなくっちゃね。この子借りるね」


 マーニャはそう言ってリーナを連れて2人席に向かっていった。

 そうだな。


 表向きはこれからどんどん協力していくことになる。

 俺も少し話しておくことにしようか。とは言え


「では、私達も少しお話しましょうか」


 俺が動く前にローエンが俺に目を向けてそう言ってきたので頷いた。


「僕も混ぜてもらおう」


 それに加わってくるヒルダ。


 ティアラはカグラと話すことになったらしいし、表向きは仲良くなれるようにしておこうか。

 そう思いながら俺達も別の卓に向かった。


「防衛作戦ですが参加はした事はありますか?リオン」


 俺の名前を覚えているらしくそう切り出したのはローエンだった。


「いや」

「そうですか。それにしてもモンスター達も王国に攻めてきたりして元気なものです」


 呆れたような感じで口にするローエン。

 そしてそれに同意するのはヒルダだった。


「確かに。こうやって定期的に攻め込まれていてはこちらももたない」


 そんなことを口にするヒルダ。


「それをもたせるのが私達の仕事ですよヒルダ。神は常に見ておられます。きっと私達を勝たせてくださる」


 そうして始まるローエンの演説。

 長くなりそうだな。



「いやぁ、すげぇなあんたら」

 

 依頼から戻ってきてヒュオン達と夕食を共にすることになった俺たちだが、エリーではなく俺がヒュオンの対面に座ることになっていた。

 理由は


「特にリオン。お前は最高だな」

「別に」


 そう答えながらヒュオンと乾杯した。


「お前次の防衛作戦で活躍出来ればすぐSランクになれそうだな。あの体捌き並の努力で出来るようにはならねぇよ」


 そう言いながら酒を飲むヒュオン。


「ほんとアルよ。いきなりSランクモンスターのケルベロスが現れた時はどうなるかと思ったネ」


 カグラが会話に割り込んできた。

 そうだ。俺たちは比較的簡単なワイバーン討伐の依頼を受けていたのだがその途中でケルベロスが乱入してきた。


 いや───────正確に言うなら俺が権能を使って乱入させたのだった。


「いやぁ、マジで突然現れた時はビビったし体が動かなかったな。マジ助かったよリオン」

「ほんとアルよ。リオンが動いてなかったからヒュオンが死んでたアル」


 そう言っている通りケルベロスはヒュオンの首を狙っていた。

 その寸前のところで俺が割り込んでその爪を弾いたのだった。


 それからケルベロスには去らせたのだが、こいつに恩を売るという作戦は上手くいったようだった。


「すごいアルねリオン。盗賊の私でも見てるだけで精一杯だったネ」


 そうやってパチパチ手を叩いて賞賛してくれるカグラ。


「お前が血のにじむような努力をしてきたのは分かったぜ」


 ヒュオンもそう言っているが確かに俺は血のにじむような努力をしてきた。

 いや、血がにじむだけじゃない。


 俺はお前らが家で寝ている間も剣を振りモンスターと1人で戦っていた。

 培ってきたものが違う。


 そしてその努力をお前らは簡単に否定した。下らない、汚れた金のために。


「なぁ、リオン」


 俺がそんなことを思っていたら声をかけてきたヒュオン。


「決してお前のせいと言うつもりは無いんだが俺の剣もボロボロになっちまってな。一緒に剣でも見に行かないか?お前もその駆け出し冒険者が持つような武器じゃ物足りないだろ?受け止められないって思ったから俺の武器を取ったんだろうし」


 そうだ。

 俺はケルベロスの一撃を受け止める時ヒュオンの武器を使った。


 厳密に言えば俺の武器でも権能を使えば受けられたがやめておいた。

 低レアの武器でそんなことを普通は出来るわけがないからだ。


「あぁ。いいぜ」

「よし、決まりだな」


 そう言って立ち上がるヒュオンは一同を見た。


「他の奴らはここで続きでもしててくれ」


 そう言って俺を連れてヒュオンは外に向かう。

 夜の冷たい風が俺たちの頬を撫でる中武器屋に向かう。


「腹割って話すがよ」


 道中でそう口を開いたヒュオン。


「正直お前たちに初め声をかけた時利益しか見てなかったよ。お前らと繋がってりゃこれからの依頼もスムーズに運ぶって思ってな。そうじゃなけりゃいくら期待の新生だとしても駆け出し冒険者に声なんてかけないしな」


 そう言って俺を見るヒュオン。


「だが、今回の1件で俺はお前と友達になりたいって思ったよ」


 そう言って手を差し出してくるヒュオン。

 俺は軽くフッと口元を歪めてその手は取らない。


「俺なりの返事だと思ってくれ」


 そう言葉を返す。


「悪いな。認めてくれたんだな俺を。そうだなお前のイメージ考えたら握手なんてしないよな」


 ヒュオンは勝手にいい方向に解釈しているが逆だ。

 俺はお前と友達になろうだなんて思っていない。


 言わばこれは伏線。

 俺がこいつに復讐を終え正体を明かした時こいつはこう言うだろう『何で、信じていたのに、と』


 だが俺はこう返す。

『そうか。俺の事を友達か何かだと思っていたのか?あいにく、違う』と、こう口にしてこの時のことを思い出させる。


 それこそが俺の復讐。

 そんなことを考えていたら武器屋についた。


「さぁ、いっちょ武器でも見ますか」


 そう意気込むヒュオンと共に俺は武器を見ることにした。

 とりあえずは信頼させることに成功したようだ。


 このまま更に俺達を信頼させる。

 そして裏切り地獄に突き落とす。


 その日が楽しみだ。

 こいつはどんな顔を見せてくれるのだろうか。

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