■前半五篇
※香月よう子様からのリクエストにお応えした掌編です。
※あくまで三郎教授という架空人物の主張であり、必ずしも私の主義に合致してるわけではありません。
「女性の日」
今日、三月八日は、イタリアでは「女性の日」と呼ばれる日だ。
子供なら母親に、独身男性なら恋人に、既婚者なら妻に、一束のミモザの花を贈り、感謝と愛を伝えるのだとか。
そういうわけで、今日の教授会は、委任状を提出して欠席することにした。
これから花屋に立ち寄り、女医をしているパートナーにミモザを贈ろうと思う。
「女子校」
今日は、かねてからの招聘に応じ、ミッション系の女子校へ行ってきた。
正門を入ると、当たり前のように立派なマリア像が鎮座していた。
教授だと言うと尊敬の眼差しを向けられるが、専門が女性学だと言った途端、腫れ物を触るような扱いに変わった。
講演の後に色々と質問に答えたが、さすがに籍を入れていないパートナーがいるところまでは、話せなかった。
「ウグイス嬢」
投票には行くし、選挙広報にも目を通すけれど、街頭で垂れ流される演説は聞き流し、ビラは受け取らない。
住み続けたい街を作りますと大声を出されても、クリーンな街づくりをというビラを撒かれても、矛盾にしか感じないからだ。
中でも耳障りなのが、ウグイス嬢だ。キーの高い声は、年齢が上がるほど頭に響いて癪に障る。
無理して少女のような声を出されても、媚びを売っているようにしか思えないよ。
「女性専用車両」
朝のラッシュアワーでのこと。発車間際に飛び乗ったら女性専用車両だったので、すぐにドアの方をふり向いてやり過ごした。
それにしても、理不尽だ。卑猥な行為をするのは、なにも男性だけでは無いだろうに。
痴女に遭ったと訴えるのは恥ずかしいし、訴えても痴漢と違って相手されないだろう、と諦めている男性は多いはずだ。
だからといって、男性専用車両を用意すれば解決する、という問題でもないだろうけど。
「女子会」
独身女医三人で、有名ホテルのバイキングに行ってきたそうだ。
女性は胃が小さいと思われているのか、男性より千円安かったという。
これは、茶碗でも箸でも、和食器は夫より妻の方が一回り小さいことに由来するのだろうか。
性別で価格差を付けるより、体重や年齢で分けた方が合理的ではないかと思う。




