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多数で異世界転生しました  作者: 水無月 陸
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異世界に行きました


仕事が忙しくてなかなか会えなかったオタク友達や、従姉と久々の休日を過ごせる事になり、みんなでカラオケに行った。

ゲームやアニメのキャラソンや主題歌、ポップスや流行曲。テンションが上がって来ると演歌を歌い始めるはしゃぎっぷりはヤバかった。


そんな楽しい時間の中、激しい揺れが襲いかかった。

私達5人は突然の震度6以上の地震に慌てる中、天井が崩れ去り、呆気なく瓦礫に潰されてしまったのだ……




…という事をベットの上で思い出した私、前世『いずみ 千佳ちか』は、ルチカ・ロズ・ウィンターフォン公爵家第一令嬢としての転生を果たしてしまいました。


いや、うん、落ち着こう。ゆっくりとベットから身体を起こし、心を落ち着かせるために一度深呼吸をして、改めて自分の姿を鏡で見てみるが、より一層落ち着かなくなってしまった。


鏡に映った自分の姿は、桃色のセミロングに黒い目で、おっとりとした5歳くらいの癒し系美少女。なんてこった。この姿は友人達と考えた自分の夢キャラそのものではないか!


「どうしてこんな事に…」


ルチカとしての記憶を蘇らせると、どうやらかなり裕福で円満な家庭で私は暮らしているらしい。優しい母に、誇れる父、優しい兄、しっかり者の弟がいるが、ここで私は更に頭を抱える事になった。


「兄様と弟の姿がどう思い出しても、私の推しキャラに似てるってどういう事!?」


兄様は某王子様を目覚めさせるアプリゲームの儚げな桜王子、弟は超次元サッカーアニメの主人公の幼馴染イケメンに何故か、外見や中身や声(つまり殆ど一緒)が酷似していた。すっごく嬉しいけどこれはしんどい。何がって心がしんどい…推しキャラが兄弟って妄想だけの産物だと思っていたけど、実際リアルになると顔のニヤケが止まらないです。しばらく頭を唸らせていると、扉がノックされた。


「ルチカ様、お目覚めのお時間です」


ドアの向こうで私の世話をしてくれている次女が、起こしにきてくれたのだろう。まだ頭の整理はついていないが、私は慌てて次女を部屋に招いた。


「は、はい!どうぞ!」


扉を優雅に開けたメイドは、アリエラというクール系の美女だ。深い緑の髪のポニーテールに、海の様な青い瞳の落ち着いた印象を受ける、憧れの女性だ。


「…おはようございます、ルチカ様。本日はお早いお目覚めですね」


「え、っと…目が冴えてしまって」


あはは、と笑いながら曖昧に答える。記憶を取り戻した以上、下手な真似はしない方が得策だろうと思い、口数は少なくなる様にしなければならない。頑張れ、私!


「本日の午前より、ルチカ様の身の回りの補助をしてくださいます、子爵家第1令嬢、リオーネ・ルナ・ディアジョーカー嬢がお見えになりますので、ご朝食前に身支度を整えさせて頂きます」


「あ、はい、お願いします」


この世界ではあまり高くない爵位の令嬢は、花嫁修行を兼ねて高い爵位の令嬢の側役として身の回りの世話をする習慣がある。大体5歳くらいになると、年の近い同年代の側役を付けるのだ。私の側役になるリオーネさんは、私の父の弟の娘。つまりは従姉に当たるわけだ。


アリエラはたった一人で白いドレスを鮮やかな手さばきで私に着せていく。あっという間に髪やドレスを整えられ、思わず感嘆の息を履くと、腰にコルセットを巻き始める。あれ?ちょっと待って?


「あ、アリエラさん?あの、コレは、もしや」


「コルセットを巻くので、ご朝食は控えめにお願いします」


本日初めて見たアリエラの笑顔が悪魔の微笑みに見えました。コルセットとの激動の戦いの果て、ようやく身支度が終わると、応接の間でリオーネの到着を待つ事になる。

同じ年頃だと聞いてはいるが、一体どんな子だろうか。


「ルチカ様、お見えになりました」


「あ、はい。通してください」


アリエラが連れて現れたのは、黒を基調としたドレスを身に纏った、襟足の長い黒髪に、金と紫の隻眼の『夜の令嬢』リオーネ嬢。その姿は幼子にしては目を惹かれる存在であった。


「お初にお目にかかります。私はディアジョーカー子爵家第一令嬢、リオーネ・ルナ・ディアジョーカーと申します。ルチカ様の側役として、誠心誠意でお仕えさせて頂きます」


流れる様なお辞儀に、完璧な立ち居振る舞いを見た私は唖然とした。何故ってリオーネ嬢がどう見ても、前世の千佳の従姉『いずみ 江梨架えりか』の夢キャラの姿をしていたのだから。


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