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神への挑戦、叛逆の徒  作者: 根本美亜
第一章 その少女、凶星につき
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3頁目 ルチフェルちゃん的異世界考察(適当)

「ルチフェル様~。ご本のお時間ですよ~」

「あい!」


特に何事もなくさらに1年が経過。私がこの世界に産まれて2年がたった。


私が覚束ない足取りではあるが歩けるようになり、たどたどしくも発声できるようになったあたりから始まった、日課になりつつあるリーリアによる読み聞かせ。そのほとんどが他愛のないおとぎ話や伝承だが、部屋を抜け出そうとしては捕まるだけの日々に比べればなんと有意義なことか。

いや、私も初めは言語解析に専念しようと常に耳をそばだてていたのだが……この家、予想以上に会話がないのである。

正確には、私のそばに世話役のリーリア以外の人物が全くいないのである。

もちろんリーリアも一言も喋らない訳ではない。使用人らしき者にも指示を出している場面も何度かあった。だが、喋っているのはほとんどリーリアだけとなると、この天才的頭脳をもってしても、絶対的に情報量(言語解析のソース)が足りていないのである。


例えば、今朝の会話を例にしよう。


部屋で私の着替えを用意しているリーリア。準備が整ったら、ベッドで寝ている私を揺すりながら、間延びした声で私に声をかける。その発音に、度々私個人にのみ向けられる固有名詞のようなものがあることから、場面を鑑みるに、「ルチフェル様~、起きてくださ~い」的な発言だと思われるが、実は「何時まで寝てるのですか~、無価値なゴミ虫め~(ルチフェル様~)」とかだとしても、わからないのである。使用人十人中十人がおおむねこれに近い発音なら、ほぼ朝の挨拶で決まりだが、リーリア一人だけとなると判断が付かないのだ。

ちなみに後者のセリフは、前世でスラムの孤児に産まれた時、軒先で寝ていた私をいつも叩き起こして追い払う男が毎回言っていた言葉を参考にしている。いや、流石にリーリアはそんなことは言っていないと思うが。多分。


話が大分逸れたが、とにかくソースを増やすためにも、ありきたりとはいえ様々な内容を読み聞かせてくれるのはありがたいのだ。その中でも、大雑把に分かったことが3つある。


1つ目は、まず私が産まれたこの家についてだ。どうやらこの家はアリシリアとかいう権威主義の国に所属しており、その中でも国の主君にないがしろにされない程度には権力を持ち合わせているらしい。なんでも、学者あるいはそれに準ずる家系らしく、国の発展に注力することでのし上がっていったのだとか。この辺りは固有名詞が多く、あまり判断が付かなかったが、もし本当にそのような立場ならおいおいわかることだろうから放っておく。


2つ目は文明の発達度について。読み聞かせられた本などから判断するに、前世でいうと聖歴1000~1500程度、産業革命が始まる前ほどのようだ。まぁ、紙の質や部屋の窓の質、製本技術の未熟さ、挿絵に出てくる馬っぽい動物が引いている車の形状などから判断しただけに過ぎないが。こちらも1つ目と同様、実際に街などを見て回ればわかることなので、放置。


3つ目は、あのトンデモ現象について。便宜上とりあえず魔法と呼ぶことにしたあの現象だが、あれからもリーリアが部屋の燭台に火をつけたり、花に水をやってたりして度々目する。正直今でも何が起きてるのかさっぱりで、分かったことも2つほどしかない。1つは、使用する前に、一般会話で使われる言語体系とは明らかに逸脱した専用言語らしきものを唱えていること。もう1つは、かなりの集中力を要するのか、そう何度もは使えないことくらいだ。このあたりも言語理解が捗ればもう少しわかることも増えるだろう。後回しで。


改めて考えると、結局何1つとして分かってないな。まぁ、今までも転生初期の環境理解には3年ほどの時間を要していたし、それを考えれば順調な部類ではあるが。魔法を見るたびに、心が逸って仕方ない。とはいえ、子の身体では特にできることもないし、答えの出ない考察をするぐらいなら今はリーリアの読み聞かせに集中するとしよう。


あぁ、楽しみだ。



ルチフェル様は結果に重きを置くので、検証ができないのに考察に埋没、なんてことをしないだけです。決して字を打つのがめんどくさいとかそういうことは無いです。

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