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神への挑戦、叛逆の徒 作者:根本美亜

第一章 その少女、凶星につき

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エピローグ 世界の終わった日/神の生まれた日

初投稿。

1/3 誤字を修正
――――――――――――――――

錬金術。
世界を物質的に変換させ、この世すべてを把握し、真理に至らんとする法。

この世界の歴史上、錬金術師を名乗ったものは数多い。が、そのすべてが自然の道理が少々わかる程度の者たちであり、正しい意味で錬金術にたどり着いたものは、結局のところいなかった。
―――ただ一人を除いては。


なぜ、彼は神秘にたどり着いたのか。どうやってその術を行使したのか。
今となっては知るよしもないし、必要性も感じない。
だが、叡智の断片に触れた彼――ルシフェルは、間違いなく人間の立ち入れない領域―――真理に至り、その力を行使した。

転生、という大いなる術を。

まぁ、ことの詳細はわからないし、考えてわかることでもない。わかることは、偉大なる始祖のおかげで、寿命を気にしないで研究できるということ。今日に至るまで、我らは始祖に感謝しながら、体をとっかえひっかえしつつ真理の探究に1500年ほど打ち込んできた。

そもそも、真理とは一体何なのか。我らは記録は共有されているが、記憶の継承は行われないため、始祖が触れた心理の詳細はわからないし、その記録も理解できなかった。何を思ってこの探求を始めたのかもわからない。わからないことだらけだが―――

転生を幾度と繰りかえそうとも咆哮を挙げる、魂に刻まれた、この身からほとばしる熱量を動力に研究を続けた。

有り体に言うと、真理の探求の名のもとに好き勝手やってきた。

あるものは生物の不完全性の乖離を。あるものは死の逆転の探求を。
あるものは因果律の収束を。あるものは星の創造を。
そして当代―――27代目ルシフェルは生命、ひいては神の創造を目標に研究している。


何をもってして神とするのかも定かではないし、これで真理に到達するのかもわからない。もしかしたら全くの見当はずれなことかもしれない。なぜこの答えにたどり着いたのかもわからない。記憶は継承されなかったからだ。
ただ一つの答えを求め、1500年もの時を積み重ねて、辿り着いた。

時は聖暦2517年、第27代真理への到達者(ルシフェル )、―――「無邪気」が似合うルシフェルの中でもひと際邪悪に愛された男の代である。



――――何度目かの爆発。
いまだ止まない爆撃により、後には何も残らぬ荒野が広がり、すべてを飲み込む。
この世界を、すべてを破壊せんばかりの戦火は、あと数刻もしないうちに星の表面を薙ぎ払うだろう。
その中心にそびえたつ、白亜の壁。
第三層までを突破され、残る最終防壁にもいくつものひびがはいっているが、いまだ朽ちることを知らない。
だがそれもここまで。
人類が築き上げた叡智の結晶は、いま、同じ人類の手によって潰えようとしていた。





「外が騒がしいな……三層まで突破されたか?」

輝く白亜の外壁と対をなすような、どこまでも薄暗い部屋。
ここは、叡智の体現者、錬鉄の錬金術師と呼ばれた男の研究所である。

歴代のルシフェルの中でもぶっちぎりで頭のイかれたこの男は、やることなすことすべてが無茶苦茶だった。
彼は生命の創造のためのアプローチとして、機械に命を宿すという方法をとった。この方法自体は過去に何人かのルシフェルも試みた手法だが、あまり結果が芳しくない手法だった、にもかかわらず、この男はそれを成功させ、機構生命体を何体か生産、そしてデータを収集するためにそいつらを、都市に放したのだ。
人類も技術力はかなり向上し、機械を兵器として導入することが可能なレベルに来ていたが、1500年の研鑽を積み重ね、機械に完全な生命を宿し、ルシフェルに継承される秘儀を使いこなす機構生命体に敵うはずもなく、主要国家は軒並み崩壊。特に何がしたいわけでもなく、適当に目についた国に稼働テストと称してテロ行為を働き続ける彼を世界は滅すべき悪とし、全国家で協力して彼個人に戦争を仕掛けた。

そして5年。ぶっちぎりの最高品質で各地を蹂躙していた機構生命体も、個人では生み出せない圧倒的物量をまえに徐々に後退。いまや、研究所は風前の灯火となった。


「機構生命体の数は……残り20か。こりゃ間違いなく死んじゃうかな?」

自分の死が目前に迫っているというのにヘラヘラ笑う男。その余裕は転生という最後の切り札があるからか……というとそうではない。
彼は、次の転生は起きないと予想している。代を重ねるごとに、ルシフェルの神秘を感じとれなくなっているのだ。初代の秘儀を全盛期とするなら、今の彼はその10分の1も力を行使できない。それに、歴代のルシフェルの知識も幾分か不鮮明な部分がある。
ルシフェルの秘儀が振るえないということは、真理の探究は終わりに近づいてきているということ。どうやら、初代以外は真理に触れることは無かったらしい。
それに、初期から中期のルシフェルたちは、自分に死期が訪れると、後継者の適性がある身体を感覚的に感知し、その上で自ら次の身体を見繕うことができたという。もっとも、彼には見繕う以前に次の身体そのものが感知できないが。


だが、彼はそれに悲観することは無い。


「えーっと、心臓部は順調に稼働中。各末端に順調にエネルギー装填完了。基本および予備リアクターも順調に動作開始。事前準備は順調に終了かな」


なぜなら、彼はたどり着いたからだ。


「……問題は無さそうだな。よし、目覚めろ」


彼なりの、真理の終着点(ゴール)へ。


「……そうだな。何時までも識別番号で呼ぶのも味気ないし、名前を付けるか。お前はこれから―――」


はたしてそれは、彼らが追い求めたものだったのか。
それとも―――


「――――――、だ。よろしくな」


刹那。
轟音。
暗転。


聖歴2517年4月17日。国際指名手配犯、明星 宵(あかほし しょう)、死亡。
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