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※今知る、お姉ちゃんの過去

「はぁー……」


 サマリお姉ちゃんの魔法で水を生成させて、これまたサマリお姉ちゃんの魔法で沸かしたお風呂。

 私はその中に入ってのほほんと気持ちよさに浸っていた。

 いやー、この間のもそうだけど、やっぱり気持ちいいよ。このお風呂は。今まで傷だらけで入れなかったってのもあるけど、サマリお姉ちゃんは自分で水を作れるから入り放題なんだろーなー。

 いくらお風呂があると言っても、水の問題があるからね。大切な資源をこうも簡単に作れる魔法はやっぱり凄いなって思うよ。

 お湯を両手ですくい上げて見ると、透き通っている水だと分かる。自分が温かさを感じなければ、水と分からないくらい透明なんだから。


「いよっと。私も入るよー」


「うん」


 一人用の浴槽だけど、お姉ちゃんと私だけならちょうど良く収まるくらいは広い。

 お姉ちゃんが入ると、ザバーッと水が流れ落ちていく。あはは、お湯が無くなっちゃうよ。

 それにしても、お姉ちゃんはスタイルがいい。普段はローブに包まれててあまり目立たないけど、余計な肉がないスラッとした胴体に、女の子らしい丸みを帯びた体つき。そして、その……胸が大きい。どのくらい大きいかと言うと、私の手じゃ全然掴みきれないほど。

 いいなー、私もサマリお姉ちゃんみたいな美人さんになりたいよ。

 自分の胸を見ても、まったく大きくなる気配がない。ぺったんこのまま。はあ……。


「どしたのさ、アリーちゃん」


「うー……サマリお姉ちゃんって美人だなって思ってー……」


「おっ? アリーちゃんはとうとう私の良さに気がついたかなぁ?」


「ねえ、どうやったらお姉ちゃんみたいになれるの?」


「そりゃあ、悩みがあってもクヨクヨせず、栄養のあるものを食べればいいんだよ」


「そっかー」


 じゃあ、私じゃ無理なのかも。奴隷である期間が長すぎたんじゃないかな。それで、こんなお胸が平らになってしまって……。

 と、諦めかけたその時、私の背中にサマリお姉ちゃんがピタッとくっついた。


「え? サマリお姉ちゃん?」


「後はねぇ……クックックッ。こんな方法もあるにはあるんだよ?」


「ぜ、是非教えて下さい! サマリお姉ちゃん様!!」


「フッフッフッ。良かろう……そりゃー!!」


「きゃあ!!」


 な、なんと! お姉ちゃんは私の胸をまさぐり始めたのだ!

 雅な動きで私の胸を上下左右に自由に揉んでいるお姉ちゃん。痛くはない。優しく、包み込むような感じ。

 ……って、恥ずかしいよお姉ちゃん!


「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!」


「んー、こうしてマッサージしなきゃ成長しないよアリーちゃん」


「マ、マッサージって……」


「こうして努力すれば、きっとおっきくなるって」


「そう……かな……?」


 あれ? なんだろうこの気持ち。なんだかドキドキしちゃう。

 サマリお姉ちゃんと普通に会話したいのに、ずっとこの時間が続けばいいなって思っちゃうよー。

 そんな私の雰囲気を悟ったのか、サマリお姉ちゃんは私の胸からパッと手を離した。


「っと! ここで止めておこうかな!」


「も……もーサマリお姉ちゃん……!」


「はっはっは。こうやって、ちゃんと努力を怠らないこと! 分かったかな?」


「うん……一応、お礼言っておくよ。ありがと」


「……ごめん。ちょっと、やり過ぎた」


「? それはあまり気にしてないよ?」


「うーんとねえ……どうしようか、私の方もタイミングってのを図ってたんだけど……」


「タイミン……グ?」


 サマリお姉ちゃんは、今度は私の横に移動して浴槽の側面に肘をついて憂いを帯びた表情を浮かべる。

 私に言いにくいことなのかな。あ、もしかして……妹さんのことなんじゃあ。だったら、私の方からアプローチをしてもいいと思うな。


「ねえ、妹さんのこと……かな?」


「……正解。アリーちゃんは知りたいでしょ? 私の妹、リノのこと」


「うん……。どうして、最近になって現れたのかとか」


「じゃ、お風呂に浸かりながらゆっくりと話しますか」


 それから、お姉ちゃんは話を始めた。

 妹さんは本当は死んでいた。なのに、別の人が妹さんに成り代わってお姉ちゃんを利用しようとしてたらしい。

 酷いよ……死んだ人を使って人の心を操るなんて……。だから、お姉ちゃんは迷ってたんだ。私に会おうかどうかを。結局、私が会いに行ってしまった結果、私が誤解してしまうような出来事が起こってしまった。

 そっか。お姉ちゃん、そういう理由があったんだね。別に私は怒らないよ。


「ごめんね、アリーちゃん。私、あなたに酷いことしてた」


「私は気にしないよ。妹さんの代わり……にはならないと思うけど、妹さんと同じくらい、お姉ちゃんのことは好きだと思うから」


「アリーちゃん……。だって、当てつけがましいじゃない? 死んだ妹の代わりを、アリーちゃんみたいにして……」


「記憶が無かったのならしょうがないよ」


「そう言ってもらえるだけでも嬉しいよ」


「これからもお姉ちゃんって呼んでもいいかな? 私、全然気にしてない。だから……」


「ありがとう、アリーちゃん。じゃあ、これからも、前と同じような感じで接してもいいんだね?」


「もちろん! だって、お姉ちゃんのこと大好きだから!」


「……私、やっと記憶が全部戻ったんだ」


「最初にお姉ちゃんと会った時は記憶喪失だったんだね。だから、過去を話そうとしても覚えていなかったんだ……」


「ねえ、聞いてくれるかな? 私のこと。村のこと。リノのこと……。今までの全てを」


「うん。聞かせてよ。お姉ちゃん」


 夜は更けていく。それまでにお姉ちゃんの思い出を全て聞けるだろうか。

 お姉ちゃんは優しい口調で過去のことを話してくれる。まるで、自分の中で心の整理をしているみたいに……。

 私は前も、そしてこれからもお姉ちゃんが大好きだよ。ずっと、私にとって大切なお姉ちゃんでいてほしいな……。

いつも読んでいただきありがとうござい。

すいません、リアルが忙しくなってきたので更新が滞るかもしれません。

エタらないようにはしますので、今後ともよろしくお願いします!

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