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第2話「シリル」

シリル目線です

 クリスは不思議な子だ。


 生まれて間もない時にも思ったんだが、あの子は言葉を覚えだすと、俺とかオリヴィアのことやこの世界の常識などを聞いてくるようになった。


 俺の剣術が見たいと言ってきたりもした。


 初めの頃は、父親として知識欲が強いから賢い子になるのだろうと期待していた。


 だが言葉をより覚えてくると、敬語や俺とオリヴィアに対する礼儀作法などをほぼ完璧にこなしていた。



 正直に言うとちょっと怖かったのだ。


 俺が4歳ぐらいの頃なんて、せいぜい母親にべったりの毎日だったのだから。



 このことをオリヴィアに相談してみると



「あら、そんなことを思ってたの?クリフは天才なのよ。だって私たちの子供なのよ?あの子は賢くて優しくていい子だわ。この前だって家事の手伝いをしてくれたし、私が疲れて休んでいると、ものすごく心配してくれるのよ。しかもこの前なんて、あなたの書斎に入っては難しそうな本を熱心に読んでて、すっごくびっくりしちゃったわ。第一、親の私たちがあの子を信じて愛してあげなきゃどうするの?あの子はあんなにも可愛くて愛おしいのよ。」



 その返答を聞いて、俺は目を見開くような思いで考えを直した。 



 あぁ・・・。

 そうだな。


 俺が間違ってたんだ。



 俺があの子を怖いだって?

 

 なんて馬鹿なことを・・・。


 あの子の前で誓ったはずじゃなかったのかよ。




 ごめんな、クリス。

 こんな不甲斐ない父さんで。






 だがそんな俺の顔を見てオリヴィアはこう続けて喋った。


 

「ふふ。そんな顔しないでよ。あの子にも子供らしさはちゃんとあるのよ。あなたは知らないかもしれないけれど、自衛団の人たちが家に来たとき、あの子ったらすっごい人見知りしちゃってたんだから。」


 

 ほう、そうなのか。


 やっぱり子供はそうだよなぁ。

 

 いくら天才だと言ってもまだ4歳なのだ。


 しかしクリスは書斎で何の本を読んでいるのだろうか。

 

 俺はそう疑問に思った。



「そういえばあの子は書斎で何の本を読んでるんだろうな。あの書斎にある本なんて、この世界の歴史や地理、そして俺の剣術本かオリヴィアの魔法本ぐらいしかなかったはずなんだけど。」


「そうねぇ・・・。私も本の内容まで見たことはないんだけど、きっとあの子のことだからいろんなことを知りたいんでしょうね。」


「だけどまだ4歳の子供にはちょっとつまらないかもしれないな。今度、物語の本を買ってあげようか。」


「えぇ、それがいいわ。あの年代の子供なら英雄の伝記とかには興味津々でしょうし。」

 



 にしてもクリスは人見知りだったのか。


 俺やオリヴィアには普通だから全然知らなかった・・・。


 俺はもっとクリフと一緒に時間を過ごそう。

 


 そして精一杯愛してあげよう。





 俺はその日、二度目の誓いを立てたのだった

 

 



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