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好きだったの。  作者: 菜々子
34/35

マーガレット2


そしてあの式典。

リチャードは今年の式典は例年と違って面白いと思うよと言っていたけれど、私はあまり期待していなかった。

だって式典の夢は一度も見ていなかったから。


けれど会場で久しぶりにローラローズを見て嬉しくなった、以前みたいに話がしたくて隣に座りたいとお願いしたけれどお義兄様のウイリアム様にすげなく断られてしまった。

その時は腹が立ったけれど、しばらくして貴族席から確認をしたら第三王子のランス様が頻回に来てはローズに話しかけているのを見て納得した。

きっとこれは、ローズのイベントなのだわ。

そうなれば、このイベントの結果は決まっているに違いない。

近衛騎士団の勝利に花を添える形で最後にランス様とローラの婚約が発表されるのだ。

何となく感じていた不安が解消されて私は心が躍った。

それによく見ればローズの兄もすました顔で第一王子の隣に座っているではないか。


模擬試合の滑り出しはイマイチだった。

私としては圧勝して欲しいけど、あまり実力の差があるといけないものね。

ふと、下を見るとローズが休憩所に降りて行くのが見えた。

やった。

やっと、二人きりで話せるわ。

慌ててローズの元へ降りて行った。

私は一足先にお祝いの言葉を伝えたつもりだったのに、ローズは何だが怒った様な表情でランス様とは結婚しないとか言っていた。

でも本当は全て私に言い当てられて恥ずかしかっただけ。

私には分かるわ。

ふふっ。

今からローズの結婚式が楽しみ。

ドレスをもう一枚新調しないといけないわね。

またお父様にお願いしよう。

きっとまた素敵なドレスを用意してくれるに違いない。

それにランス様と幼馴染で信頼の厚いリチャードはこの先副団長になるはずだから、これからも私達は仲良くやってゆけるわ。

最近少し不安だったけど、大丈夫。


あら。

次はリチャードの試合だわ。

この試合が最後だから、最前列で応援しないと。

降りてゆくと、休憩所と逆側が賑わっていた。

顔見知りが何人かいたので何事かと近づけば、賭け屋だった。

まぁ、男性はいつも何かを賭けたがるものね。

私には関係ないと離れようとした時

「次の試合に出られるリチャード様の奥方では?」と大きな声で呼び止められた。

私は仕方なく肯定の意味を込めて立ち止まり振り返ると。沢山の人が私の方を見ていた。

「奥方、一つリチャード様に賭けませんか?」

店主であろう男性の言葉に周りからは、わぁと歓声が上がりました。

しかしあまり乗り気のしない私の顔を見た店主は

「あっ。それとも、自信がありませんか?それなら仕方がない。」

と一段と大きな声で言うので

「自信が無いなどとは言っていません。絶対に夫が勝ちます。」

ここまで言われて、引くわけにはいきません。

「じゃあ、いくら賭けます?ちなみに対戦相手のギルバート様には今日一番の賭け金を出した女性がいましたよ。どうします?」

どうします?って

そんなの決まっているじゃない。

私が一番よ。

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