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好きだったの。  作者: 菜々子
33/35

マーガレット1


私は、マーガレット。

地方貴族の一人娘。

王都のマナースクールに通う事が決まった時から不思議な夢を見るようになった。

まるで、第三者の視点で自分を見ている夢。

同じ様な場面を何回も繰り返したり、毎回違う人と同じ様な会話を繰り返したり、初めは新しい環境になる事への緊張からかと思ったけど余りにリアルなので段々と怖くなって夢を日記に書くようになった。

そしてマナースクールへ入学して驚いた。

夢と全く同じだったのだ。

寮の部屋や、教室、先生達、同級生、そして何よりローズ。

私は混乱して、熱を出した。

三日間、寝込んだ後に私は自分がこの物語の主人公だと理解した。

どうしてか分からないが、私はこの物語の中に入ったのだ。

それからは、簡単だった。

だって大切な場面は何度も夢で見てベストな受け答えを知っている、それに日記にも書いてある。

そう、なんてイージーな人生。

これで私は、死ぬまで幸せになれるに違いない。


そして私は一番優しいルートのリチャードを選んだ。

だって頑張って王族と結婚しても慈善活動や視察など結婚後も大変に違いない、ローズのお兄様は結婚までが難しすぎて問題外。

その点リチャードは、公爵家の次男。

近衛騎士団の副団長になってゆくゆくは私の領地を継いでもらう予定だもの。

最大の難関は婚約者のローズだけどリチャードと出会う前に親友になっておけば、上手くいく事も分かっている。

実際、結婚式までは何の問題も無くスムーズに事が運んだ。


違和感を感じ始めたのは、ローズと会えなくなったこと。

お茶会やパーティーにも出席していないし、手紙を書いても返事がなく仕方なく屋敷に行ってみたが療養中と言われ会えなかった。

夢ではリチャードと私が結婚しても仲良く出来ていたのに。

どうして。

今までは何もかも順調だったのに。

違和感が不安に変わったのは、ローズが見たこともない男性と歩いていた時。

調整を頼んでいた指輪を受け取った宝石店から馬車まで歩いていた時だった。

ローズが歩いてるのが見えた。

その時のローズはいつもの完璧な微笑みではなく少し俯き加減ではあったが、はにかんだ様な表情は初めて見る可愛らしいもので私は慌てて呼び止め話しかけた。

一緒にいる男性は第一騎士団の団長だとか。

一般的な貴族と違い短髪で顔の造りは悪くはないけれど大した地位もお金もない爵位だって低いに違いない、そんなつまらない男性と連れ立って歩くなんて。

どうしたのよ、ローズ。

もしかして、婚約破棄が辛すぎておかしくなってしまったのかしら。

でも大丈夫よ、ローズ。

貴方は、リチャードと婚約破棄したら第三王子のランス様と結婚するはずだもの夢で見たわ。

そして私とリチャードも結婚式に参列して、お祝いするのだから。

そう、だから大丈夫よ。

これからローズだって幸せになれるんだし。

そしたら今まで通り一緒にいられるようになるのよ。

ねぇ、そうでしょ。


遅くなってすみません。

番外編です。

少しでも楽しんで頂けたら嬉しく思います。

よろしくお願いします。

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