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好きだったの。  作者: 菜々子
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アリスの恐怖


なんだかんだで、式典は平和に終わった。

ローズお嬢様と隊長は幸せそうだし、

メルさんには「愛のおかげでお金が増えて良かったですね。」

と私なりの祝福の言葉をかけさせてもらったけど、

メルさんは涙目で「違うんです。私は嬢様の仇を・・・」

全てを言う前に、ギルバート様に回収されていました。

まぁ、大丈夫でしょう。


そろそろ、私もお暇をと思ったところでロイさんから声をかけられた。

「アリス様。これからレストラン蝶々で騎士団の皆さんと祝賀会をするのですが

参加いただけますか?」

レストラン蝶々。

私が一度行ってみたいと思っていた、憧れのレストラン。

行きたい。

でも行けば必ず奴がいる。

あぁ。

私は泣く泣く断ろうと口を開きかけた時

ロイさんが小声で

「お断は、されない方が賢明かと」

何故?

と言いかけて止める。

ロイさんの目が私の背後を見ているから。

私は、一度深く息を吸い込むと

「えぇ。伺います。」

としぶしぶ言った。


そして、地獄の時間が始まった。

素敵な個室に素晴らしい料理。

一度は来てみたいと夢見た場所だけど、緊張で楽しめない。

ロイさんが給仕をしながら

「アリス様。今日の洋服とてもお似合いですね。グレイの生地に水玉のリボン。」

今更どうしたのだろうと、首をかしげてロイを見ると。

楽しそうな顔で私を見ながら言った。

「アルバート様も今日のお召し物は、大変お似合いですよ。」

私は前にいる伯爵をまじまじと見る。

グレイのタキシードに水玉のタイ。


ひっ。


それでは失礼いたします。と涼しい顔でロイさんは出て行ってしまった。


私は頭の中で、レストランに着いてからの事を思い出す。

二人そろって会場に入り、食べ物の方へ行こうとする私を

「挨拶周りに付き合え、黙って笑っていればいい。」

そう言って伯爵は私を連れまわした。

挨拶した人たちは、色々で貴族のような人たちもいれば、伯爵の仕事関係の人もいたと思う。

みんな感じの良い方ばかりだったと思う。

でもまるで恋人や婚約者のようにお揃いの私達を見てどう思ったのだろう。


「本当に気が付いてなかったとは。」

思案顔の私を見つめていた伯爵は、あきれたという表情で言った。


うっ。


私だって自分の迂闊さを呪いたい。

一日中伯爵とお揃いの服を着てたなんてっ。


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