円満?
最後はボロボロのランス王子が頭を下げて握手を求め
オリバー様がそれに応え、会場が拍手に包まれるという
感動の終了で幕を閉じた。
いいのかしら?
色々ズルがあった気がするのだけど。
「ローズ。次は君の番だよ。」
お兄様が私を促しました。
そうだ。
祝福。
どうすればいいんだろう?
「ローズ。君なりの祝福をオリバーに贈ってやればいい。」
お兄様の優しい声に勇気をもらって会場へと降りて行く。
会場へと入りオリバー様の前に立つと
心が震えた。
勇気を出して話し出そうとしたら、オリバー様に止められた。
「ローズ。先に私から話したいことがあるんだ。」
そう言って微笑むと片膝をついて私を見上げた。
「ローズ。君を私の一生をかけて守ることを誓うよ。
私と結婚して欲しい。」
そう言うとそっと私のワンピースの裾に口付ける。
騎士の方々がする昔ながらの求婚方法に
胸が熱くなる。
思わず、涙が溢れそうになったその時
「オリバー。ありがとう。」
空気を読まない大きな声が、聞こえた。
手摺越しに、ぶんぶんと手を振っている人を目の端にとらえた。
そちらに意識が向きかけた時
「ローズ。」
オリバー様に呼ばれた。
あっ。
返事を。
「オリバー。良くやったわよ。」
さらに大きな声が聞こえる。
「ローズ。彼女の事は無視していい。」
そうオリバー様は言いますが、
ごめんなさい。
もう我慢できません。
「オリバー様。ディア様とはどういったご関係で。」
私の声が若干低くなったのは、しょうがない。
「ローズ?」
「オリバー様、どういったご関係で?」
更に低くなった私の声にオリバー様は慌てて、
「ディアは、幼馴染で私の」
「私の?」
「兄嫁だ。」
「そうですの。お兄様の。」
へぇ。
んっ?
えぇっっ。
お兄様の奥様?
「ローズ。そろそろ返事をしてくれないか?」
そういえばオリバー様が片膝をついたままでした。
私は慌てて私を見上げている、オリバー様の頬に手を添えると額に優しく口付けた。
「オリバー様。末永くよろしくお願いいたしますわ。」
言い終えると、すぐさまオリバー様に抱きしめられ
そのまま持ち上げられ、ぐるぐると回られた。
オリバー様。
愛が目を回してしまいそうです。
会場は今日一番の歓声が響き、温かい拍手が二人に送られた。