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好きだったの。  作者: 菜々子
28/35

祝福?


最後の試合のアナウンスが流れ始めていますが、

先程の試合の興奮がまだ残っているようで、

会場はざわついています。


横に座っていたお兄様が、第一王子と何かを話しています。

それはとか、でも、という第一王子の声が聞こえてくるので

お兄様の話にはあんまり乗り気ではなさそうです。

しばらく話し合っていたようですが


急にお兄様が立ち上がり、第一王子が使っていた拡声器を持ち上げると勝手に話し始めました。

「次のランス王子とオリバー隊長の試合が最後の試合となります。

この試合の勝者には、王家より剣と盾。そして、」

いったん言葉を切ると

びっくりして見上げている私を見て、いつものように微笑むと

私をグイっと引っ張り上げて立たせた。


「この勝利の乙女より祝福が贈られます。」

と大きな声で言った。


お兄様、祝福って何。


ぼーぜんとしている私をよそに

会場は大いに盛り上がっているが

多分よく分かっていない人も会場の雰囲気にのまれて

騒いでいるだけのような気がする。

訳が分からないけれど何故か、貴族も市民も関係なくお祭りのように盛り上がっている。


異常な興奮が会場を包んでいる中、

ランス王子とオリバー様の試合が始まった。

お互いに剣を構えると、間合いを取りながら睨み合っている。

私は胸の前で手を組んで、祈るような思いで試合を見つめる。

先に動いたのは

ランス王子。

一気に距離を詰めると、切りかかった。


キーーン。


剣と剣がぶつかり合う音が響くと

剣が宙を舞って、地面に突き刺さる。


微動だにしないオリバー様。

ランス王子が慌てて剣を拾いに行くとまた切りかかる。


キーーン。


剣が宙を舞う。

呆然とするランス王子にオリバー様が剣を取り行くように

顎をしゃくった。

真っ赤になったランス王子が走って剣を取りに行くと

勢いよく切りかかった。


キーーン。


剣が宙を舞う。

ランス王子が走って剣を取りに行く。

切りかかる。


キーーン。


はぁはぁと息を上げて片膝をついているランス王子に

オリバー様が剣を指して取りに行けと言っている。

ランス王子がよろよろと剣を取りに行く。


オリバー様。

これは試合ですよね。

訓練じゃないですよね。

いつ終わりますか?


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