白熱ですの。
二人の剣と剣がぶつかり合う音だけが、会場に響いています。
意外でしたが、リチャード様はちゃんと鍛錬されていた様で
ギルバート様と互角に戦っています。
拮抗が続く中リチャード様の剣が、ギルバート様の腕をかすりました。
ギルバート様は大きく飛びのいて、腕を押さえます。
服が裂けている?
これは練習試合ですから、模造刀が使われているはずです。
本物を使っているとしたら、失格ではないでしょうか。
大丈夫でしょうか。
そう思って見ていると、ギルバート様は剣を構え直すと
今までのスピードとは段違いの速さで、リチャード様に切り込んでいきました。
えっ。
あっという間にリチャード様の剣が弾き飛ばされると、
すぐさま顔面にギルバート様の回し蹴りが当たり、リチャード様は吹っ飛んで転がった。
ギルバート様はゆっくりと、弾き飛ばされたリチャード様の剣を拾い上げると
仰向けに倒れているリチャード様の顔の横にぐさりと突き立てた。
一瞬の静寂の後。
割れんばかりの拍手と歓声が会場を包んだ。
ギルバート様ってすごくお強いのね。
メル。
お金が増えて良かったわね。
あらっ。
マーガレットが凄い勢いで、歩いて行くわ。
あんなに高いヒールで、危ない。
あっ。
足をひねって、よろけているわ。
ふふっ。
次は最後の試合。
オリバー様。勝って下さいね。
そしたら私、自分の想いを伝えます。
相手から言ってもらうのを待つのは、もう止めにします。
貴方が大好きだって。
誰にも渡したくないって。
知っておいて欲しいから。