今ですか。
後ろは、地下に続く階段だったようで
アリス様に強く押された私は、一瞬の浮遊感を感じた後。
あらっ?
落ちていかないです。
誰かが後ろで、私を抱き留めた。
「ローズ」
低くてとっても安心する声。
「オリバー様」
私は安心して身体の力を抜くと、オリバー様はぎゅっと私を抱きしめて
「ローズ」
もう一度私の名前を呼びました。
「君に確認したいことがあるんだ。」
オリバー様が深刻な声で話しだしますが、
私より下の階段にいるオリバー様の口元が、私のうなじ辺りにあるようで
くすぐったくて
んっ。
身じろぎしてしまうと、ますますぎゅっと抱きしめられます。
「俺はランス王子に勝ってもいいのか?」
「んっ。それはどういう。」
「俺が勝てば、君と王子の縁談は無くなるだろう。」
あっ。えっ?本当に私とランス様の間に結婚話があったのですか。
それをオリバー様は知っていた?
「もしかして、お兄様に?」
私とランス様とのお話を潰すように、頼まれたのでは?
「ローズ。俺は勝ってもいいのか?」
そんなの。
そんなの。
「勝っていいに決まってるじゃないですかっ。」
でもそれって。
私は期待してもいいの?
それとも、お兄様から何かの見返りがあるの?
ちゃんと言ってくれないと分からない。
「オリバー様。」
ちゃんと言葉にしてほしくて、祈るような気持ちで呼びかけると。
「オリバー。貴方何してるの?」
少しハスキーな女性の声が下から聞こえてきた。
「早くこちらに来て、これからの対策を考えるわよ。
貴方の勝利には、私達の大切なお金が掛かっているのよ。」
オリバー様は私を抱きしめていた腕を素早く解くと、
私を背中に隠すようにして、
「ディア。すぐに行くから騎士団の休憩室で待っていてくれ。」
ディア?
誰?
私は、オリバー様の背中から少し顔を出すと下を見た。
あの女性は。
宝石店でオリバー様といた方。
スラリとした美女は、早く来なさいよね。といい
くるりと奥に歩いて行った。
オリバー様は私と向かい合い
「ローズ。君の気持が聞けて良かった。俺は負けないから。」
そう言うと優しい笑みを浮かべて
じゃあ。と颯爽と地下へと駆けて行った。
待って。
待って下さい。
お願い、ちゃんと説明して欲しいんですの。