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好きだったの。  作者: 菜々子
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困惑します。


席に戻ってからもマーガレットの言葉が反芻されます。


そういうものでしょう?


そもそも好きになるのをコントロールできるなら

人の婚約者を好きにならないようには、出来なかったのかしら。

今思えば、私のリチャード様への想いは、淡い優しい想いだったと思います。

それでもあの時の私は真剣でしたし、すごく悩みました。


もしも二人が好き同士にならなければ、私はそのままリチャード様と結婚していたでしょう。


オリバー様を好きになってしまった今、そんな事はどうでもいい事なのでしょうが。

それでもなんだか、心の中にもやもやとしたものが込み上げてきます。


そんな中、第三試合が開始しました。

第三試合ともなると、騎士団の方も疲れが見え始め何人かが負けてしまいました。

近衛騎士が勝つと周りから歓声が上がります。


試合の途中でランス様が来られました。

相変わらずキラキラした笑顔を振りまきながら、私の隣へ座ると

私の方へ顔を寄せ

「そろそろ、近衛騎士団の本当の実力が分かると思うよ。」

と自信たっぷりにおっしゃいました。

本当の実力?

ランス様は本気でそう思っていらっしゃるの?

こんなに不公平な対決なのに。

先程のマーガレットとのもやもやと、ランス様へのイライラが合わさった私は

ランス様へ顔を向けると

「今日は近衛騎士も騎士団の方々も、正々堂々と戦うことを誓われましたね。

ランス様、近衛騎士の正々堂々とは、このような形なのですね。」

にっこりと笑って

「私が思っていたものとは、違いましたわ。」

と言ってから冷たい視線を投げかけると

前を向いて座りなおした。

ランス様は言葉にならないような言葉を呟いて席を立たれて行かれました。



第三試合も終わってお昼の休憩に入りました。

オリバー様は三試合とも危なげなく勝たれて、ほっとしました。


市民席でお弁当を売る声が、こちらまで響いています。

私達の席にはサイドテーブルに、サンドイッチと飲み物が用意されました。

とても美味しそうなのですが、食べる気が起きずに会場を見渡していると

下の階でぴょんぴょんと飛び跳ねて手を振るアリス様を見つけました。


私はお兄様に断りを入れてからアリス様の元へ降りて行きました。

いつもの制服とは違い、素敵なワンピース姿です。

グレイの生地は光沢もあり、何よりスラリとしたアリス様に

ピッタリのデザインでよく似合っています。

髪もきちんとアップにされていて、

「アリス様も来られていたんですね。

今日はいつもと感じが違って、とても素敵ですわ。」

特にワンピースが素敵です。と私が言うと

顔を赤らめて恥ずかしそうに

「えぇ、ありがとうございます。」

いつものハキハキしたアリス様と違って可愛らしいなと思っていると

「あっそうでした。一緒に来ていただきたい所があるんです。」

と言うと、いつものアリス様に戻ってしまわれたようで

こちらへお願いしますと、私を素早く会場の端の方へ誘導し


へにゃりと笑うと


「あの、ごめんなさい。」

と言って



私の両肩を後ろへ強く押した。



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