悩みますの。
外出禁止令が解けたので、オリバー様たちへお礼を届けたいと思います。
メルと相談して、今回はお昼をお届けする事にしました。
私も手伝います。
とはいっても、切り分けられた食パンに出来上がっている具を挟むだけの作業です。
ついでに、お兄様の商会にも持って行こうと思うので大量です。
先に商会に顔を出し、受付に皆さんで食べてくださいと預けてまいりました。
さて、オリバー様はいらっしゃるでしょうか?
詰め所をのぞくと、何人かの方がこちらを見てぎょっとした表情をされます。
何故でしょう。
取りあえず、入りましょうと一歩踏み出したところで後ろから腕をつかまれました。
「何故、お嬢様がここにいるのですか?」
あら、オリバー様です。
今日も一段と不機嫌なお顔ですのね。
「オリバー様。先日のお礼をと思いまして、みなさんにお昼のお食事をお持ちしましたの。」
「お礼はお断りしたはずだが」
困惑気味のオリバー様に、私は抱えていた大きなバスケットの中身を見せます。
中から「おおっ」という声が聞こえました。
何とギルバート様がメルの持っていたバスケットを持ち、すでに詰め所に入っているのです。
オリバー様は苦笑すると仕方がないという風に私のバスケットも取り上げると
「お嬢様からの差し入れだ。感謝して食すように。」
と大きな声でおっしゃりました。
「で、何故お嬢様もここで食べてるんですか?」
「今日これを作るのに、いつもより早起きしましたしお腹がすいてますの。丁度ご一緒できて嬉しいです。」
私は隊長室でオリバー様とお昼をご一緒しています。
メルも一緒にと思ったのですが、侍女は同じテーブルでは食べられないでしょうからとギルバート様に連れて行かれました。
「ぶっ」
開いている扉のほうから、笑い声がしました。
アリス様です。
お茶を持ってきてくれたようですが、ひぃひぃ笑っておられるのでお茶がこぼれないか気になります。
「アリス。お茶を置いて、お前も食べに行け。」
笑いながらもお茶をこぼすことなく、お茶を置くとアリス様は出て行かれました。
オリバー様は黙々とサンドイッチを食べられています。
私も負けじと黙々と食べます。
3つ目を食べ終わったところで、お腹が一杯になりました。
さて、お茶を頂きましょうと顔を上げると
オリバー様が私をじっと見つめています。
何でしょう。
「もう、おしまいですか?それだけで足りるんですか?」
あぁと私はにっこり笑って、
「あとは、どうぞお食べになってください。私は十分です。」
お腹一杯ですとお伝えできたと思ったのに
「もう一つお食べなさい。大きくなれません。」
と言われました。
思わずオリバー様からサンドイッチを受け取ってしまいましたが、
大きくなれません。
って、身長ですの?
それとも、この小さな胸の事ですの?