亜猿式格闘術者たくみ
「さて、ルールは知ってるね。なんでもありだ。」
強者だけが集められたこの異世界。一番強いものはだれか。ジャンルえ超えて、世代を超えて、そこでは争われる。
ここに一人の天才いた。彼は天才であり、亜猿式格闘術の使い手であった。名をたくみという。
今宵の彼の開いてはボクサーだった。
ボクシング
だれもが知るその競技だが、強さにおいてはもはや疑われなくなっている。
蹴りがない?投げがない?
しかし、あるべきものがある。
「駆け引きなしだ。俺はボクシングで貴様に勝つ。」
「補助輪付きでのるわけ。幼稚園児かよ。」
そうはいいつつたくみは、グローブをはめているのはボクサーにとって何のハンデでもないと知っていた。
「さあ、ゴングだぜ」
たくみは無防備に近づいて行った。
たくみは天才である。つまり、目がいい。相手の重心や初期動作を読むのは当然だった。
しかし、初期動作が同時でも、自身より早い攻撃はよけれない。
ジャブ
もっともスピードに特化した技であるといっても過言ではない。
そして脅威なのが、ボクサーにとってのジャブは人を倒せるほど磨き抜かれている。
「ぐっ!」
先手必勝なはずが、先に声を上げたのはボクサーだった。
「(こいつ・・。相打ち覚悟できやがった)」
スピードを極めた攻撃にさらなるスピードで対応するのは一つある。しかし、それができないなら他で勝負するしかない。
たくみはジャブを守ることを放棄した。
「ふん。ならばフットワークでサンドバックだぜ。」
蹴ること放棄したボクシングにとっての利点の一つがこのフットワークだったが、彼は遅すぎたのだ。自身が速すぎるゆえに。
ボクサーは最初の攻撃は当てるために放った。たくみの最初の攻撃は足を奪うために放ったものだった。
「初撃への覚悟が違った・・・」
ボクサーのフットワークを奪った攻撃の正体は沼とよばれる技だった。
相手の足とバランスを狩る。足を狩れなくてもバランスを奪うことができる。それは必殺技でありながらつなぎ技でもあった。
「ボクシングは確かに有力だが、使い手がバカだったな。」
目をはらし、どっちが勝者かわからないざまでたくみは立っていた。
亜猿式格闘術はいまだ負けを知らない。
「今日の亜猿式格闘術」
沼という技だよ。足を殺しにいく技。相手に受けられてもバランスを一方的に崩すことができるんだ。




