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シュレディンガーの娘

シュレディンガーの猫というのをご存じだろうか。


まず、蓋のある箱を用意して、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質のラジウムを一定量と、ガイガーカウンターを1台、青酸ガスの発生装置を1台入れておく。もし、箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出すと、これをガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、青酸ガスを吸った猫は死ぬ。しかし、ラジウムからアルファ粒子が出なければ、青酸ガスの発生装置は作動せず、猫は生き残る。一定時間経過後、果たして猫は生きているか死んでいるか。【Wikipediaより引用】


私は檻にとらわれ、そして目の前にはガイガーカウンターがあった。


二分の一の確率で私は死ぬ。


二分の一。運なんてものにことごとく嫌われていた私にとって大きすぎる数である。


そもそも拉致されてこんなところに監禁される時点で私の運命は呪われている。


私の人生は最悪の連続だった。そんな私がまだ生きているのは死ぬ方法がきまらなかったからにすぎない。


何事もうまくいかなくても、死ぬ方法だけは私が決める!


私はもう怖くなかった。安らかに眠りについた。




モニターの外で二人の話声。


「運のいい悪いってどうやって決まると思う?」


「えー。神さんだよきっと。」


「運のいい人にはある条件があるんだって。それは身の回りのささいなことに気が付く。知らず知らずのう

ちに他の人よりもいい情報を手に入れて行動しているのが運のいい人だそうだ。」


「でも、運の悪い人だって知らず知らずのうちに悪い情報を手に入れているのかもしれないじゃん。運のいい悪いもひっくり返せば同じことなんだよ。つまり、運のいい悪いは結果がきめる。結果論さ。」


「ほう。」


「結果さえなければ運がいいのか悪いのか判断することはできない。」






その娘は死んでるのか生きてるのか

その娘は運が良かったのか悪かったのか

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