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夢物語  作者: 青木 リュウ
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弟の苦労

人には誰にも話したくないことが一つや二つある。…もちろん俺にも。

例え最後の家族であるねーちゃんにも言えない罪が、俺にはある……。




時を遡ること、約1時間前。


それは、唐突だった。


『はい、もしもし………え、うん…はぁ!?今から漫画家連れて家に来る!?………それはいーけど……………は?……っ…分かったから!準備しといてやるから!…うん、じゃあ……』




昼も過ぎ、やることもなくなったので一人テレビのチャンネルを回して暇を潰していたらあの馬鹿なねーちゃんがまた、やらかした。


いや、正確に言うならばやられた、と言ってもいいだろう。問題はその、やらかした(された)事と、相手だ。


まず、何をしたか、だが簡単に言うならば水を被ったらしい。それも頭から。


これだけ聞くとどこのイジメの被害者だ、と言いたいが実際はファミレスでウエイトレスを庇って自分がかかったのだからある意味自業自得だ。しかし、問題はねーちゃんは打ち合わせ中だったこととその相手だ。


少しズレるがねーちゃんは俺の唯一の家族だ。

だから例え仕事の相手だろうとねーちゃんを傷つける奴は許せない。

だから今回の漫画家を調べてみたらかなりの大物だとわかって驚いた。


何故ならその早瀬、という人は今の漫画界を率いていると言ってもいい人気漫画家だからだ。


これも調べた事だがその人の作品はほとんどアニメ化してかなりの人気を誇り、最近では実写化までする作品を生み出している。


そこだけ聞くとただの天才のように聞こえるが、実際は長く辛い下積みがあったとも言われている


そんな大物が何故ねーちゃんに頼み込んだのか気になるが……と、


思ったよりも思考が大きくずれていた…が、もう直ぐねーちゃんはその大先生を連れて帰ってくる。


そう、この家にその大先生が来る…!


まぁ、水を被ったのがねーちゃんだけなら打ち合わせは強制終了で帰宅するんだろうが被ったのはねーちゃんだけでなく、その大先生も被っていた。それが問題だった。


何故かはねーちゃんに説教する時にでも整理するか…


聞けばその先生の家より我が家の方が近いらしく濡れたまま帰すのは忍びない…と、言う訳でこっちに向かってるらしい。


「ただいま〜!」


と、噂をすればなんとやら。


「おかえり、それといらっしゃい」


「…お邪魔します」


一瞬こっちを見て少し目を見張った後直ぐに爽やかな…女子が見たら騒ぎそうな笑顔を向けてきた彼が早瀬さんだろう。


…ストーリー的に女性だと思っていたんだが


とにかく、


「風呂と着替え、用意してあるんで、どうぞ」



俺がすることは変わらない。


両親の代わりに俺がねーちゃんを守る…


それが、無力だった俺にできる償いだ。





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