#7 報酬は大金でした
「ようこそ冒険者ギルドへ。買い取りですね」
「ああ、頼む」
「では拝見しま……す…」
「? どうかしたのか?」
「これ、この魔石はどこで……?」
……魔石?
訳の分からん手紙とユニークスキルという便利なスキルを取得した翌日、迷宮で手に入れた綺麗な石を冒険者ギルドへと金にならないか持ってきていた。
まずゴブリンから取れたものが18個、やたら強かったスケルトンから取れたのが1個の計19個だ。
ゴブリンから取れたものはどれもアメジストのような石、スケルトンから取れたものは純白の綺麗な石。
その2種類をここに来る途中に買った腰巾着から取り出し、買い取り用のカウンターに居た受付嬢に見せた。
それを職員の前に出したのだが、魔石、ゴブリンから取れたものではなくスケルトンから取れた方を、おずおずといった感じでどこで手に入れたのかを訊ねてきた。
なんだろうか、危ない系のブツなのか……?
一瞬そんな考えが頭を過ったが杞憂だったようだ。
俺は昨日迷宮で起きたことを所々ぼかしながら話した。
「なるほど…… トラップ系の転移陣ですか… それも2階層で…?」
カウンター嬢が訝しむような視線を向けて
来たが直ぐに元の視線に戻った。
俺はスケルトンのことなどは一切伝えてない。
一応そういったトラップがあったということは伝えておいた。
「金になるかと思って持って来たんだが、いくらくらいになる?」
「そうですね…… 正直私1人じゃ決めかねますので… 上の者を呼んでまいりますので少々お待ちくださいませ」
そう言ってカウンター嬢は裏へ引っ込んで行った。
「お待たせしました。こちらの方が担当します」
「どうもどうも、純魔石を持って来たのは君かね」
カウンター嬢が戻って来ると、その後ろから気の良さそうな笑みを浮かべ、顎髭を撫でながら探るような視線を向けてくる40代程の男が出て来た。
「ああ、そうだが…… 何だ?」
ニコニコとしているがその目は此方を上から下まで舐め回すように見ていた。
流石に俺は男に、それもおっさんにジロジロ見られて喜ぶような癖は無い。
「ふむ。見た感じ特にそんな実力を持っているようには見えないが……」
な、なんだと? いくらなんでも失礼じゃないか?
「何が言いたい?」
「あぁ、いやいや、そういう意味で言ったのではないよ。純魔石というのは本来60階層でしか取れない筈だから、ちょっとビックリしてね」
「そうなのか」
「うむ。つまり君が転移させられたのは60階層、またはそれ以上ということになる」
「へぇ、まぁ良いが、早く鑑定してもらいたいんだが」
何かを探るような視線もうざったいので早く鑑定してもらうように促す。
自分でしろって?
ばっか、ギルドで報酬貰うのも楽しみの1つじゃないか。
「ああそうだな、では拝見…………ふむ。凄いな。ここまで純度が高いものも珍しい。白金貨一枚でどうかな?」
白金貨一枚!? マジかよ、めちゃくちゃ大金じゃないか。
ちょいと鑑定
純高魔石
ランクA
価格S
適性 白金貨2枚
おっさん詐欺じゃねぇか。
「む、ならば金貨を30枚追加でどうだ?」
俺が無言だったのをどう解釈したのか、値段を上げてきた。
だが、安いな。
「白金貨もう一枚、だろ?」
「なっ!? な、何を言っているんだ?」
「だから、白金貨もう一枚だ。嫌なら他に行かせてもらう」
他っても何もないが。
商人とかが買うだろう。
「……分かった。白金貨二枚だな、用意してくる」
「ああ」
ッシャオラ!
奴隷、買えるんじゃね?
うはっ、うははは!
***
「ランラン○ー!!!」
白金貨二枚、収入。
「く、くひっ、くくっ、くっくっく!」
「ははははは! 笑いが止まらんぜよ! はははははは!」
俺はギルドから金を受け取り一旦宿へと戻っていた。
そのまま奴隷を買いに行こうと思ったが、ほら、あれだよあれ、嬉しい事があると一回その喜びを爆発させたいみたいな。
要するに今の俺。
おっさんの苦虫を噛み締めたような金を渡す時の顔は最高だったな。騙そうとした罰だ。
そして白金貨二枚、宿のおばちゃんに奴隷の値段はどれくらいか聞くと、大体金貨30枚から40枚で買えるとのこと、中金貨3枚〜4枚だ。
とりあえず一通り喜びを発散したので一緒に聞いておいた奴隷が売っているという場所に向かう。
「まさかこんなに早く金が貯まるとは、罠様様だな」
俺は軽い足取りで宿を出た。
向かうは奴隷商だ。




