表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

騎士長サマのお願い

ー完了ー


っ!もう終わったのか!!

すげえ、本当に意識が消えた!全然嫌な臭いもしなかった!!

なんか、ふわって体が浮いたなぁって思ったら即完了!何これ、便利ぃー。

んー?うぉっ!風が気持ちいい!いい匂いもするな、美味しそう!焼肉かな?

そっと目を開ける。賑やかで人が沢山いる良い町を想像して━━━━








あれ?何これ?

目を開けた俺が見たものは、賑やかな街でもなく、美しい街でもなく、


俺に剣を向け臨戦態勢に入っている兵士っぽい人たちだった。

中世っぽい素敵な広場のど真ん中で、刃先がぐるっと俺の周りを囲んでいる。



え、なにこれこわい。



いや、俺が剣を向けられてるって…えっ。

俺普通の一般市民だぞ?なんだよチンピラか?ものすごく大掛かりの。何大勢で来て

んの。逆に疲れねぇ?

初心者っぽいからってたかりに来たのか?財布渡すから帰ってください。

前世では見た目が怖そうだからってたかられなかったのにな……







「お前は何者だ?」



っ!少し切ない気持ちの俺に、なんかリーダーっぽい男が話しかけた!

見た目ハンサムダンディなおじさまなのにチンピラかー。もったいない。


てかちゃんと言葉わかるんだな。

なんか変な感じ。明らかに違う言葉なんだけどな。


っと話しかけられたし答えなきゃ駄目か?怖いよー。


「俺は……」


うーん……こう言う時って、偽名名乗っといたほうがいいのか?

嘘着いたら針千本って訳でもねぇだろうし……。ここは夢か本当かファンタジー世界、何が起こるかわかりゃしねぇ、もしかしたら本名教える=即契約とか……うわ、やだなぁ。


うん、偽名名乗っとくか!


杏里(アンリ)です。よろしく」


姉貴の名前をサクッと拝借した。すまん姉貴!!


「ふむ、アーリか。いい名前だ。私はエリウス王国騎士長、ダスガだ。こちらこそよろしく。」


杏里だよ。ま、どうでもいいけど……


……と言うより。ちょっとお前、今なんて?騎士長だよね?なんか、ものすごく強そうなのですが?


そして高潔で市民の味方のイメージがある、が……うーん?

いや、でも実際の騎士は確か……いや……?


確か、騎士はピンキリ、いいやつから悪い奴まで幅広くお取り扱っていた……きがする。


つまり、財布をよこせと、俺様騎士長様だぞ財布を渡しやがれという意味か?

だがやらん!金はねぇ!さっき探してたが、財布を持っていなかった。

……警戒しすぎだろうか。


「あ、あの!」


ん?なんか騎士長サマに話しかけられた。ものすごく言いにくそうだ。

なんだどうした財布はないぞ?…疑いすぎか、俺。


「フードを外して頂けないだろうか!」


フードが欲しいのか!?フード!?フード……いやフード!?

財布差し置いてフードを要求したぞこいつ!


うん、それぐらいのことならするが、なんで?

もしかして女子の肌を見たいとかいう変態?可能性は無きこともない……が……


ま、逆らうと怖いので脱ぐことにした。やっぱり知らない人怖い。


フードのボタンを上から外してゆく。少女らしい胸が手に当たる。

あぁ、やっぱり俺女なんだなぁ…


全部外し終わったため、バッと勢いよく脱いだ。

「なに?美人!?」とか「おお、美人じゃないか……」とかの呟きは聞こえなかったことにしておこう。なんか気持ち悪いし。


「これでいいですか?」

「ああ、感謝する。こら!お前ら黙れ。」


騎士長サマは動じず、ざわざわしている騎士どもを一喝。

ピンキリの良い方だったのか、騎士長サマ!!


「その、それでだな、ううん」


さっきよりもっと言いにくそうにまた何か言おうとしている。

なんだどうした?今度こそ……財布か?


「王宮までご同行願えないだろうか!」


……なんか、署までご同行願いますみたいなニュアンスを感じるんだが。


俺なんにもしてない……よな?よな!


断ろうと思ったが騎士長サマの必死…というか決死の形相が怖すぎて何も言えない。

よく見ると周りの騎士達も同じ顔をしている。こっわ!

俺意識がない時何をやらかしたんだろう……?説明書、もうちょっと詳しく書いてて欲しかった!


俺の返事がないことを査定と受け取ったらしく、「ではこちらに……」といつの間にか後ろにあった馬車に乗りこまされる。いつの間に!


すっと警察的なスキルで滑るように馬車に押し込まれる。なんて紳士的な押し込み!

気がついたら馬車に乗っている、ちょっと待って、何されるの俺。いや何が起きてるのこれ。


……ま、まぁ!


こっちにゃチートがあるんだ、危なくなったら精一杯抵抗しよう!


強がる俺の脳を、ドナドナの曲が掠めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ