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美人さんの過去

「フリルは無敵じゃ!どこに付けても可愛い、素晴らしいじゃろう?しかも応用力もある。重ねて付ければフリフリして可愛い!重ねなくても控えめな可愛らしさを演出できる!このように素晴らし

《わかったから!分かりましたから!》え、…あっ!お、おぉ…うむ!いや、我はその、フリルなど好きではないがな!」


まだいうかこの幼女!この長い時間で何を語ったと思ってやがる。


「ん、ふん。いやの、妹がの、フリルが好きでの」

《は、はぁ…そうですか》

「あれー?妹なんていなかったわよね、あなた。」

「ばっばばっば馬鹿を言うな!そうじゃ、そのな、つい先日生まれたのだ!」

「0歳の頃からフリルが好きなんて将来が楽しみねー」

「んぐっ」


あーあー幼女さん。何でそこまで少女趣味を隠したがるんだ?

別に幼女さんの年齢なら変じゃないと思うんだが……いや、むしろお人形さん大好き♡な年頃じゃねぇか?


《別に少女趣味は悪くないし、その年齢でじゃもっと変じゃないでしょう?なんでそこまで隠したが…》

「ぷっ」


美人さんが吹き出した。

そしてにやにやと幼女さんを見て一言。


「その年齢でぇーーーだって☆」

「きっしゃまぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


バァン!と音を立てて幼女さんが机をたたいた。その迫力に思わず青ざめてしまう。

し、しまった。失言だったかーーーーーーー


「ねーアーリぃ、この子何歳に見えるぅ?」

《……13でしょうか。》

とりあえず大きく見積もってみる。たのむ!当たってくれ!

「我は43歳じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


幼女さんが叫んだ!ま、まさかの、あれか、合法ロリってやつか…本当に実際するとは!



「大人っぽく見られるようにって我言葉使ってんのにねー、ひっどーい☆」


美人さん、それひどいって思ってないだろーーーーーーーーーーでも幼女さん怖い…


《す、すみませんでした…》

「初対面のくせに、初対面のくせにぃぃ」

《そんな気になされていたとは思わなくて…》

「ロレッタ!こいつはいったい誰なのだ!あと、こいつを学園になんて死んでも入れないぞっ!」

「あ、この子はね…」

《あ、アーリと言います。すみませんでした!》

「ふん!許さぬ!」

「アーリ、この子はね、ルグレ・マルフェイスっていってね、学園長をしてるのよー」


学園長…学園長…がくえんちょー…学園長!?

美 人 さ ん 先 に 言 え !

学園長を怒らせちまったのか…うわぁぁ…しまったぁ…あぁぁ…


《学園長様だったのですね…》

「ふん!そうじゃ…って知らなかったのか!?」

「あ、あのね…ちょっとこの子そのね…」


ごにょごにょ


「な!なんと…っ」

「それに…」


ごにょごにょ


「なっ!?」

「それで…」



ごにょごにょ



「すまなかった!っっっそなたが父と二人で仲良く暮らしていたのに突然の反乱で家から追い出され、傷つけられ、それでも命からがら逃げてきた貴族令嬢とは!」


………美人さん…

幼女さんが目に涙をためて叫んだ。美人さんの脳内物語、絶賛炸裂中だったみたいだ。

わざわざ誤解ですって言いにくい雰囲気つくるんじゃねーよ…


「ちょっと!」

「あ…しまった」

「ご、ごめんね、思い出させちゃったね」

「すまなかった!」


未だかつてこれほど心が痛むことがあっただろうか?いや、ない!

すると、美人さんが突然寂しそうな顔をした。


「私も……妹が死んじゃったことがあるから……」


心が痛むぅぅぅっ!え、ちょ、美人さん、えええええ!?


「アーリ、苦しいときは泣けば良いのよ」

「え、あの、ちょ」

「私ね、小ちゃい頃から人前で泣かなかったの」

「あ、え?はい?」

「どうしてかしらね?どうしても泣いちゃうときは声を押し殺して泣いてたのよ」

「……はい」

「そしたら声を上げて泣けなくなっちゃって、妹が死んじゃったときも声を出せずに泣いていて……」


美人さんの寂しげな顔が俺の心を痛めつける。

一家健在だなんて言えない……むしろ俺が今大丈夫じゃないって言えない……


「妹を殺した奴らを恨んで、憎んで、ずっっとそれを体の中に溜め込んでた」


殺された!?でも、こんな酷い話なのに美人さんの顔はただひたすらに寂しい。


「でもね、妹がある日夢に出てきて、『なーに泣いてんのお姉ちゃん!』って笑い飛ばされちゃった」


泣き笑いみたいな顔。美人さんの脳内物語より、美人さんの方が辛い過去を背負ってると思った。


「人はいつか死ぬから、一日一日笑って楽しんだ方が良いよって、せっかく生き残ったんだから、笑ってって。人生、楽しむためにあるんだからって」


一呼吸置いて、美人さんはしみじみとこういった。


「でもね、せっかく励ましてくれたのに私、あなたがいないと笑えないって言っちゃったのよ」

「……」

「そしたらさぁ!『じゃあ、大泣きして。きっと笑えるから!』って」


「『どん底に落ちたって、泣いたら少しはスッキリするよ。人はなんで泣くと思う?泣いたら楽になるからだよ!だって、この世のすべては楽しむためにあるんだから!』って、あははっ、すっごい暴論」


美人さんが誰かの喋り方を真似している。きっと、妹さんだろう。


「『ねぇ、周りを見てみて?遊べる物が一つもない??そんな訳ないよ!この世のすべての物は、何でも楽しいんだから!』」


「『だから笑えるよ、ぜったい』って」

次の話はコメディです!台無しです!

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