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null:000  作者: 桃山千隼


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実験ログ:02 「異常と虚無」

イズミの適応が終了し、アマネが言う。

「それじゃあ、次はミタマの番だね。」


アマネが機械を操作すると、イズミと同じくカプセルに液体が貯まる。

なんだかミタマが嬉しそうだ。能力者になれるのが嬉しいのか、自己紹介で泳ぐのが好きと言っていたし、カプセル内で泳げるのが嬉しいのだろうか。


少しした後、ミタマも永遠の眠りにつく。前と同じように体から出た魂を抽出し、今度は水と魂を適応させるそうだ。ミタマの体だったものを取り出し、ミタマの魂が漂うカプセル内に水を入れる。


数分後、水が勝手に動き始める。水が収縮し、少女の形となる。そのうち顔もでき始め、ミタマの形となる。

アマネがカプセルの扉を開け、ミタマを取り出す。


「ねぇミタマ、今、何がどうなってるか分かる?」アマネが問いかける。

「うん、もちろん。あんまり慣れないけど、この体だったらこんなことができそう。」ミタマが言い放つと、なんと宙に浮き、空を泳ぎ始める。その姿はまるで、元気にはしゃぐ子供のよう。

原理も全く分からない、本当に能力者になったんだろうな。




「あまりはしゃぎすぎるなよミタマ。次の番だ。」コヨミが言う。


アイカの番が来る。二人と同じように液体が下から迫る。水が来ているのに、アイカは落ち着いた様子だ。

水が満杯になったカプセルの中で、アイカも永遠の眠りにつく。

コヨミが機械をいじり、魂を抽出する。今度は摘出した魂をなんと空気に適応させるそうだ。

魂の漂うカプセルに純酸素で満たす。


少しすると、カプセルに霧が立ち込める。霧が形を変え、凝縮し、ついに少女の形をしたもやになる。

アイカはカプセルを開けるまでもなく、壁を通り抜けて出てくる。


「あー、ある程度能力の詳細はわかったけど、どうだ?俺たちのことわかるか?」コヨミは少しビックリした様子で話しかける。

「この流れなら私にも聞くよね。もちろん分かるよ。」アイカは落ち着いた様子で話す。




全員が成功し、ホッとする一同。そこでラセンが私に話しかける。


「タイムリミット。全員の実験が終わった後意見を聞く約束だ。さぁ、どうする?」


みんながしてるのに、私だけしないなんて、それっていいのか?

「…私は…私は…やる。やってやるよ。私の人生、好きに使わせてやる!」私はやっと決断できた。


ラセンは嬉しそうな反応をした。「キミはそうすると思ったよ。よし、キミを無事に能力者にするのを保証してあげる。さぁさぁ、カプセルに入って。」


私はラセンに言われてカプセルに入る。カプセル内はそこそこ広い。

「始めるよ。」ラセンの合図と同時に下から液体が迫る。

三人分も見ていたのに、やっぱり慣れない。


液体は首辺りまで迫る。息ができるはずなのに、私は息を止めてしまう。液体はカプセルを満たす。私は思い切って鼻で水を吸ってみた。するとほんとに息ができる。少し安心している私にラセンが言う。


「キミに適応してもらうのは、『無』だ。真空で光もない、塵一つない空間へ魂を解き放つ。」


「無?!何もないのにどうやって適応しろと?!」私は水の中から反論する。が、眠気が増してきた。水に含まれる睡眠成分を含む毒素に侵されてきているようだ。


「大丈夫。キミならできる。気づいてないかもしれないけど、キm……」

私は睡魔に勝てなかった。




私は、永遠の眠りについた。寝たのに何故か意識がある。魂だけって、こんな感じなんだ。だけど腕も足も、体も何も動かせない。何も見えないし、何も聞こえない。無に適応するなんて、私には無理だったんだ。




こんなところで、私の人生は終わるのか?私にできるなんて全部嘘だったんだ。私は、こんな…ところで…


こんなところで……終わってたまるか!!

絶対に生き延びてやる!起きろ私!体を動かせ! ……やっぱり、こんなこと。数十分は頑張った。だけどなにも、なにも変わらなかった。







なんでだろうか。見えないはず目が光を見た。私は無意識に手を伸ばした。

なんでだろう。私は、誰かの声が








私は、知らない天井で目を覚ました。辺りを見渡すと、同じ部屋にアマネがある。

私の目で見えたアマネは、右目の眼帯を外していた。眼帯を外した右目には、白い花の模様がある。

皆んなも部屋の窓から私を心配そうに見ていた。


「…私は……どうなったの…?」アマネに伝えるが、私の声には微かに電子音みたいなノイズが混じっている。


アマネが私にこれまでのことを伝える。

「あなたの魂を真空カプセルに解き放ったところ、急にサイレンが光ったんです。それで数十分待っても何も変化がなくて、皆んながもう諦めようとしたところ、カプセルの中にあなたが出現したんです。あなたの周りだと、なんでか物理法則が無力化されて、体や物が急に浮いたりして、近づくことすら大変だったんです。そこで頑張って近づいて、私と一緒にワープゲートでこの隔離室にきたんです。」


頭が回るようになった頃、確かにアマネや周りの物が宙に浮いている。ちょうど近くにあった鏡を見ると、私の体はノイズやテレビの砂嵐みたいな物に包まれている。





私がやっと落ち着いたとき、ラセンが部屋に入ってきて言う。

「あー、急で悪いんだけど、君たちには一度能力の検証も兼ねて訓練をして欲しいんだ。」

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