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null:000  作者: 桃山千隼


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実験ログ:01 「実験と発現」

どうも、桃山です。

二作目楽しんでね。

張り詰める研究室の中で、所長ラセンは言う。

「キミたちは、能力者になるつもりはないかい?」


この一言が放たれてから、しばらくだれも喋らなかった。場に緊張が張り詰める。

もう一言、ラセンは喋る。

「簡単に言うと、キミたちには人間であることをやめてもらう。キミたちの体の構造を全て作り変えて、新たな力を身につけさせる。」


私は「人間であることをやめてもらう」という言葉に少し怖くなった。もしそれが失敗したら?仮に成功したとして、私はどうなる?私の人生は、一体どうなる?


場の緊張をほぐすように、コヨミが言う。

「別に、俺たちは強要しているわけではない。俺たちはキミたちの意見を尊重するし、無理というなら有明に頼んで記憶を消去してもらい、もとの生活に戻してやる。どうだ?」


私は考えた。別に元に戻れるなら、こんな危険なリスクを取らなくても。

私が断る返事をしようとした時、同じく連れてこられたイズミが言う。

「俺はする。だって、姉ちゃんが能力者の暴走を止めてたの、かっこよかったし!」


次に、また同じく連れて来られたミタマが言う。

「はいはーい、私もしてみたい。なんだか楽しそう。」


またまた同じく連れて来られたアイカも言う。

「私も賛成。また孤児院に戻るのは嫌だし。」


なんで皆んな賛成するの?こんなに危なそうのに。皆んなが賛成する中、一体、私はどうしたらいいんだろう。

私だけ微妙な空気になる中、ラセンが私を指差して言う。

「キミたち、いい覚悟だ。じゃあ、キミはどうする?」


私は何も言えなかった。怖かった。頭の中で言おうとする言葉は出てくるのに、口が動かない。そんな私をみて、アマネが言う。

「まだ決断ができないなら、皆んなにすることを見てから決めてみたらどうですか?実験器具も三つしかないわけですし。」


「…わかった。そうする」私は気持ちがすこし落ち着いて、やっと言葉が出せた。


「…まぁいいさ。みんなついてきて。」ラセンが先導する。


私がついていった先は、研究室にきて一番最初に見た三つの培養カプセルだった。

大体5mぐらいだろうか。結構大きい。少し前まで水みたいな物がが入っていた形跡がある。


三人の研究員が、機械を操作する。すると、カプセルの扉がが開く。

コヨミが言う。

「今から行う実験の過程で、キミたちには一度死んでもらう。そこで体から出た魂を別の物質へ取り込ませる。この実験が無事成功すれば、キミたちは能力者となる。だけど注意してほしい。これが成功すると、キミたちの体は全くの別物となる。最終確認だ。それでもいいんだな?」


私以外の三人は口を揃えて喋る。「はい!」


イズミがラセンの、ミタマがアマネの、アイカがコヨミの前にあるカプセルに入る。

「それじゃあイズミ、始めるよ!」ラセンが言うと、イズミの入ったカプセルに、水ではない透明の液体が下からどんどん中を満たしていく。


「ちょ、ちょっと、これ大丈夫なの姉ちゃん?!」イズミが慌て始めた。


「大丈夫だから!それは簡単に言うと触れる液状の酸素!吸っても苦しくならないから安心して!」ラセンがなだめる。


液体がカプセルを満杯にさせた時、息を止めるのが限界だったのか、イズミが深呼吸をしてしまったが、不思議なことに息ができるらしく、吐いた時に出るはずの空気の泡も出なかった。


私がしばらくカプセルに入ったイズミを観察していると、なんだかイズミは眠そうな素振りを見せ始めた。ラセンに聞いてみると、あの液体には睡眠成分の入った毒素があるらしく、液体を吸い込んだ者を苦しみのないように魂を取り出す最適な手段だそうだ。


数分後、ついにイズミは眠りについた。

すると、口から出なかったはずの空気の泡が出てきて、すぐ液体に溶けてしまった。ラセン曰く、あれが魂だそうで、液体に溶けた魂を取り出し、別の物質に入れるのだそう。


今から液体から魂を取り出すそうだが、意味分からん機械を意味分からん操作して、全ての工程が理解不能だった。


無事に魂を取り出したラセンが言う。

「これから、さっき取り出したイズミの魂を、雷に取り込ませる。」


「雷に取り込ませる?そんなことが出来るの?」私は咄嗟に聞いた。


「確証はない。だけど、私の弟なら、イズミなら、雷にも適応するはず…」


目には見えない、イズミの魂が漂うカプセル内に、高電圧の電気を流す。カプセル内が眩しく光る。数分間、電気を流し続けるが、変化は何も見られない。


私が諦めかけたその時、電流に違和感が発生する。形が変わり、カプセル内の電流が収束し、少年の形となる。


ついには顔も出来始め、体が雷ということ以外の容姿は、完全にイズミになった。


カプセルの扉が開き、イズミは出てくる。

ラセンが近づき、喋りかける。

「ねぇ、私のこと、覚えてる?ほら、姉ちゃんだよ。」


すると、イズミが話す。

「覚えてないわけないでしょ。姉ちゃんは姉ちゃんなんだから。」


「よかった…」という言葉を発し、安堵の表情を浮かべ、雷の体のイズミに抱きつく。少し痛そうだが、そんなことは気にも止めてなさそうだ。


アマネがミタマに言う。

「それじゃ、次はミタマの番だね。」

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