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「「私達もそれは疑問に思う」」


見事に両親の言葉が重なった。その時の表情も二人ともそっくりだった。流石夫婦。

それに、やっぱり皆が疑問に思ったことなんだ。


私の足元でシャオが眠りはじめた。

こんな私の人生がかかった深刻な話し合いの場で呑気に寝れるあんたが羨ましいよ。

来世は毛深くてモフモフの気品あるホワイトタイガーなろっと。公爵家で贅沢三昧して暮らしてやるんだから。


「理由聞いてないの?」


そう聞くと、父は「う〜む」と目を瞑り眉間に皺を寄せた。

この反応は、聞いたけど曖昧な答えしか返ってこなかったということだろう。

「なんて言われた?」と付け加える。


「王子がサラを選んだらしい。顔も性格も何も知らないから逆に興味が湧いたそうだ」

「それ一番ダメなやつ!!」


私の大声に心なしか部屋が揺れたような気がした。

王子もっとしっかり選べ!将来の王妃になるかもしれない相手だぞ?


社交界に出てる女はタイプじゃなかったとしても、社交界に出ていない女はもっとアウトだろ。

今すぐにでも取り消せ、まだ間に合う!


「もしかして、ミステリアスな女だと思われた?それとも社交界に顔を出さないから、おしとやかで可愛らしい守ってあげたくなるような女性を想像した?やめいやめい!それ私じゃないから!むしろマーガレットだから!」


私は思っていることを一気に声に出した。

最近こんな驚くようなことがなかったから、喉も興奮して本領発揮しているようだ。

さっきまで気持ちよさそうに眠っていたシャオも「クゥ〜〜ン」と可愛らしい声を出しながら目を覚ます。

両親は「お前の言うとおりだ!」という視線を私に注いでいた。


「ん?マーガレットは?あの子、小さい頃からキラキラ王子様と結婚するの夢見てたじゃない」

「もうすでに提案した」仕事が早〜い!

「だが、却下された」王子の馬鹿〜!


父の言葉に絶望しながらも、私は微かな希望を探した。

何かまだ婚約を解消する手段があるはず……、私、死んだことに出来ないかな。自分の遺影ちゃんと自分で描くからさ。


「あ、あとだな」と父が私をどこか哀れむように見ながら声を掛ける。

……なんだろう。聞かない方が良い気がする。嫌な予感しかしない。


「妬み嫉みでお前に意地悪をしてくる者達がいるかもしれない」

「あ、そんなこと?」


父の言葉に思わず拍子抜けした。


「そんなことって、サラ、貴族の虐めは貴女が思っているようなものじゃないわよ?ねちっこくて、狡猾で時には命も狙われるかもしれないわ。貴女みたいに拳で戦ってやる精神を持った人なんていないのよ」

「エミリア、そんなにサラを脅すな、まだ子供のじゃれ合いだから大丈夫だろう」


褒められているのか貶されているのか、よく分からない。なんだろう、このちょっと複雑な気持ち……。


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