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私と一緒に付いて来ようとするシャオを必死に説得した。

いつもより豪華な餌を与えても、シャオは私の言うことを聞かなかった。

どこへ行くのもいつも一緒だったから、突然離れ離れになると思って焦っているのだろう。


「シャオ!ステイ!すぐ戻るから!」


私の訴えもむなしく、シャオは私に対抗して「ガルル」と喉を鳴らす。

傍から見れば私がホワイトタイガーに嚙み殺されるかもしれない

っていう危ない状況かもしれないけど、シャオは私に絶対に牙を向けることはない。これだけは保証できる。

彼は今寂しいだけなのだ。……本人と直接会話出来るわけじゃないからただの勘だけど。


こうなったら最終手段だ!

ちょっと卑怯な手かもしれないけど、致し方ない。


「……シャオのこと嫌いになるぞ」


私が声を落としてそう言うと、シャオは急にしおらしくなり、その場に座り込んだ。

うわ〜、効果覿面。

こんなにあっさり言うことを聞くんだ。

なんだか罪悪感が……。いや、でもこうでもしないと私は仮面舞


踏会に行けない。

許せ、シャオ。しばしのお別れだ。

心の中でそう呟きながら、私はシャオを優しく撫でてその場から離れた。


屋敷を出ると、馬車の前立っていた着飾ったマーガレットがすぐに私に気付く。

私を察知するアンテナでも張られているのか?

彼女はパッと表情を明るくさせて私の方へと駆け足で向かってくる。

主人を見つけた子犬みたい。心なしかフリフリと揺れている尻尾が見える。


「お姉様〜!いよいよ今日が本番ですわね!頑張りましょう〜

!」


私はマーガレットの頭を撫でながら「おう」と呟く。

こんなに協力してくれた妹の為にも絶対に成功させないと!

気合を入れ直し、マーガレットとともにラドン家の家紋が入った馬車に乗る。


マーガレットは私よりも少し濃い桃色のドレスだった。優美なドレスに煌めく宝石で美しく着飾っている。

私とあまりにも対照的だった。


いつもこんなに装飾品を身につけているのか。重そう。肩こらないのかな……。

あっ!今年の誕生日は肩たたきの棒を渡してあげよっと。


馬車が動き出し、屋敷の方へと目を向ける。正面扉の前に両親が


心配そうな表情を私に向けながら立っていた。

そんな娘が戦地へ行くみたいな見送りやめて……って、戦地に行くようなものか。

不安そうに私を見つめる両親に私は元気よく手を振った。その心配はちゃんと予想的中するよ〜〜!

ちゃんと死んでくるね〜〜!


そうして、私は仮面舞踏会という名の戦場へと向かうことになったのだ。

いざ、出陣!

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