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11.私とビィの興味津々:前編
「ねぇミハル、これは!?」
「これはチョコレート。カカオという実の中を煎って粉末にして、ミルクや砂糖なんかで煮詰め冷やし固めたもの、かな」
多分。チョコの作り方を詳しく知っている人が居たら聞きたい。
「この袋、凄いね。金属と同じ色をしているのに柔らかい」
「あー、これはアルミホイル。一応金属なんだけど、まぁそういう性質のものなのよ」
板チョコにその包装紙、飴や饅頭なんかの袋の材質への質問。果てはポテチの入った袋を開けて見せた後の、留め金も紐も無いどうやって閉じてたの!?なんて叫び。口についてる白っぽいのが糊の代わりをしているのよと伝えても、あそこまで硬く閉まるわけ無いじゃないかと否定されてしまった。
えぇっと、確かこれって熱でまた溶けて固まるのよね。後でふたして、その時に納得してもらおう。
「ミハルの世界のものって面白いものがいっぱいだね。研究したらいっぱいいろんなことができそう」
「うーん、確かにここにあるもの全部が研究の結果だからね。それをなぞるだけでも色々わかるとは思う」
応用が利くのならばきっとありえないくらい文明は進んでしまうのだろう。・・・持って帰らせるわけには行かないと思う。
「けれど、色々危険なこともできちゃうから駄目」
「何で、ただの袋でしょ?」
首を振る私に怒ったように言うビィ。色々事情があるの、これが原因で色々破壊されるものがあるのだと、本当のことを伝える。胡乱気な目で見られたけれど、もう一度首を振るとあきらめてくれた。
「ちぇ。いいよ、自分で見つけて作るから」
うんうんそれがよいよいガンバレ若人。ビィの頭を撫でながらそういうと、やっぱりミハルのほうが年下に見えるといわれてしまった。一体何がそう思わせたのよ。
「・・・まぁ、いいわ。とりあえずポテチを砕こう。あ、一枚くらい食べてもいいよ?」
ほれと一枚差し出すと、くんくん匂いをかいだり回したりしていた。どうしてそこまで警戒するんだと聞きたかったけれど、もしかしたら私と同じ危機感を持っていたのかもしれない。これなら作れそうって呟きを聞いて、全く違ったのだとわかったけれど。
「うん、しょっぱいけどおいしいね、これ。でもなんだか喉が渇くかも」
薄塩味でもポテチは口の中の水分を奪っていくからなぁ・・・。そう思っていたら、
「生み出すは清廉たる水。魔力を対価に望みを叶えん」
あっさりと手のひらに水を溜めごくごくと飲み干した。って言うかどこから出した。魔力を対価、って事は魔力から作ったんだろうけど。大気中の水分集めたわけじゃない、のよね?そう聞くと、
「当たり前じゃないか。それに周りから力を借りるのはボクの国じゃ精霊術師って言うし。魔術って言うのは体に備わっている魔力を呪文と呪式、それから精神力で望むものに変換することなんだ。呪式は魔術を発動させるための律。なんて言えばいいのかな・・・。うん、呪式っていうおっきな絵を、精神力って言う筆を使い、魔力の絵の具で書いて、呪文でその絵に名前をつけるって感じかな。上手く伝わってる?」
「すっごいわかりやすい」
どうして名前をつけるとそれが本物になるのかはわからないけれどね。
「よかった。魔力は呪式の導きに従い形作られ、呪文の許可によってこちらに具現する。うーん、呪文は名前付けよりも通行手形ってほうが近いかも」
つまり魔力というものは表舞台には本来出てはいけないもの、ということかな。でもだったら何で表舞台にいるはずの人間に備わってる?
「理屈はわかったけど理由がわからないなぁ」
そういうものだ、としか言いようが無いとはわかっているけど。
12.私とビィの興味津々:後編
ふと魔術師とは電子と陽子の別れたものを体に保有する人なのかなと思った。たとえば水を作るなら原子核三つと電子一個を二組、それから、えぇっと酸素は何番目だったか。とにかく酸素の電子の数一組、つまりH2Oを「呪式」として組み上げ、精神力で陽子と電子を動かし、呪文で発動させる、とか。
けれどあの肉の水分抜きを思い出すと、作り出すではなく実際に存在している水分子に作用していることになるからありえない、のか?
んーでもあの時ビィは、起因は火と言った。熱を作り出した、って事になる。
火、つまり熱とは燃焼作用だ。物質に酸素が化合し、その際熱を産生もしくは火を生み出す。毒性も無く昇華し、水分を押し出す程度の熱産生だけの化合式ってなにかあったかな?
・・・それとも肉の水分子を電子レンジみたく直接揺らしたとか。ああでもそうしたら肉は煮える。ああでもそれに近いのか?元あるものに力を借りる、ではなくもとあるものに作用させる、って形で乾燥させていたし。んー遠赤外線?ああああ、もう!
「わからないなぁ」
電子と陽子説だったら、もし魔力が暴走した場合核融合が起こってしまう。でも表に存在してはいけないものって事は存在できないものって言えるかもしれないし、うーん?まぁ、さすがに核融合なんて事が起こるなら魔力を持つものたちは迫害されるか。
それに電子と陽子を扱えるって事は物質も産生できるってことだ。けどいくらなんでもそれは質量保存の法則が許さないだろうし。って水を産生している時点で質量保存の法則を無視してた。・・・ん?ああそうか、初めから電子と陽子が体にあるってことは体からそれを減らして生み出すって事になるんだし。でもそしたら体から水をひねり出すって事になる?それじゃ無意味だよなぁ。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、魔術師っていっぱい食べる?」
「うん、物凄い食べる。とくに大きいものを作ったり規模の大きい干渉をしたときなんか凄いお腹が空く。学食とか物凄い量だもん。でもその割に魔術師ってあんまり太らないなぁ。太ってるひと学園で見たことないや」
「あ、やっぱり?」
うーん、魔力という陽子電子を食料から生み出すことができる?食べ物も超多分子物質であることには変わりないし。取り込んだものを本当の最小単位まで分解する消化器官と貯蓄する特殊な内臓器官がある、とか。それを持つ人が魔術師の素質、かもしれない。
ああでもお肉から水分抽出の謎は解けてないしなぁ。
「ご飯を食べて魔力って回復する?」
「当たり前じゃない。魔力が枯渇したままじゃ魔術を使う人死んじゃうよ」
魔力が無かったら死ぬ!?あああ、また分からないことが増えた。
んーつまり魔力を栄養源としても再構成できるのか?いやむしろ消化器官で分解「できる」じゃなくて完全にそういう形に「なる」とか。生きるために吸収できる栄養の形に「無意識に呪式(化学式)として作り変えてる」?ああでもそしたら子供とか生まれそうに無い、いやいや生命の神秘ってものもあるし・・・・・うがあああああ!?
「うん、とにかく魔術は良く理解できない物だってわかった」
「せっかく人が説明したのに・・・。まぁ魔術は今でも研究されてるものだからね。かなり学術的な面もあるし。基礎の基礎の基礎の、一般知識程度の話だけで理解されたら逆に怖い」
それは確かにそうだ。
「うん、でも魔術に興味があるわ。また講義してくれると嬉しいかも」
「このアルミっていう金属の作り方教えてくれたらいいよ」
・・・・・・すみません、電気がいっぱい要るって事意外わかりません。
13:正しい火の熾し方
「すまない、待たせた」
「お帰りなさい、カストルさん」
「お疲れー」
ビィとのんびり魔術談義をしながらポテチを粉砕した後。焚き火用に石を集めていたら、薪代わりの物を探しに出ていたカストルさんが戻ってきた。片腕に抱えた枝を地面におろし、首をパキパキ鳴らしている。
「さ、さすがにお一人でこの量はつらかったんじゃ」
方腕、ということは持ち替え持ち替えかえってきたということなのだろう。かなりの量枝が集まっていた。
「問題ない。むしろいざという時剣を抜くために片腕分しか持ってこなかったのは悪かったかと思っている」
ず、ずっと左腕だけで支えてきたんですか。この人も大概人間離れしてる。
「変わりに、これを」
そういって、ぽーんと効果音がつきそうな手軽さでビィに投げ飛ばされた紫のもの。私の方にも飛んできて慌ててキャッチする。
「途中で見つけた。一つ齧ってみたがなかなか美味かったぞ」
「あ、ありがとうございます」
「うわー、いただきます」
リンゴみたいな硬さをしたそれをハンカチで拭い、ひと口齧る。品種改良された果物を食べつけた私にはちょっとすっぱく感じられた。それでも疲れきった体に染み渡る水分とほのかな甘み。
「んー、クエン酸って感じ。おいしいです」
「それは良かった」
「うん、おやつにちょうどいいや。ところでミハル、クエンサンってなに?」
「あー、まぁ食べ物の一種よ」
全然違うけど。間違いではない、多分。
「ふぅん?まぁいいか。あ、レームとディアはちょっと遠くにいるお肉追いかけて出て行ったよ。一刻ほどって言ってたけど」
「・・・ええぇと一刻って30分だったかな。だから三分の一刻?ぐらい経ったら戻ると思います」
筆箱からはずした時計を確認して時間を告げる。って言うかビィ、お肉を追いかけてってリアルに想像するとシュールだぞ。ばら肉とかが空を飛んでるイメージが湧いちゃったじゃないか。
「ふむ、そうか。ならば今のうちに火をつけてしまおう。茶葉がなく、また水を無駄にできぬことが無いのが残念だがな」
「水なら僕が作るから大丈夫」
「言われてみればそうか。あ、紅茶みたいな優雅なものじゃないですけどお茶ならありますよ。えっと・・・・・はい、どうぞ」
鞄に放り込んでいたペットボトルの麦茶を渡し、あ、勿論フタをあけてだけれど。カストルさんに飲むように勧める。いいのか?と聞いてくるカストルさんに、薪と果物のお礼ですよと笑って首を縦に振った。すまないと一言、二三ほど口に含む。たくさん飲んでくださいといえないこの状況が切ない。
「なんとも不思議な風味のする茶だな。爽やか、といえばいいのか」
「私の国で、夏に良く飲まれるものなんですよ」
最近じゃあんまり関係ありませんけど。返されるペットボトルを受け取り、鞄にしまった。
・・・カッコいい人と関節キス!と心が騒ぐことの無い自分がちょっとむなしい。やっぱアレかな、高校のときに仲の良かった男女の友人達とジュースの奪い合いとかしたからか。
「ともかく、火の準備をしよう。ビール、枯れ枝はほとんどないがいいか?」
「問題ない問題ない。干し肉とおんなじ要領だよ」
確かに水分を飛ばしてしまえば枯れ木と一緒か。なんにせよホントに便利だなぁ魔術。カストルさんが私達の集めた石で丸く囲い、その中に一握りの枝を入れた。あの時と同じく手のひらを翳すビィ。
「排除するは水、起因は風。熾すは火、起因は風。風が元、望みを起こす木を浸食する。競合せし力の元、永続なる・・・・・」
随分と呪文が長い。ややこしいものなんだろうか。
「穏やかなる炎にてわが望みをかなえん」
似たようなフレーズが続いた後、ボッと赤い火が立ち上った。パチパチと枝が燃える音が響く。
「っふぅ、成功、かな?性質を持った魔力の火を他の物質を利用して定着させるなんて久しぶりにしたや」
・・・・電子陽子説はやっぱり間違いか。
14.結構微妙な味付けと私の背景:1
シャクシャク謎の果物をかじりながら火付けを見ていたら帰って来た狩り組み。見事に大きい、ええっと、アリクイもどき?を捕まえてきた。・・・・食べられるんだろうか?気にしたら負けか。
「わー凄い!さすがディア!」
随分素直に感心しているビィに少しだけ笑う。レームさんにもお疲れ様ですと声をかけ、昼と同じく捌かれる獣を見つめた。人によっては血に酔うらしいが、解剖の実習で生きたマウスを切り裂いた私にそんなものは起こらない。まぁ、初めから血抜きだけはしてあったらしいのでそれほど凄惨なことにはならなかった。
手馴れた様子で肉をカストルさんが持ち帰った枝に刺していく様子を眺める。
「あ、ポテチ・・・えーっと塩代わりは後から付けて。多分こげると思うし」
チラッとだけ目線を寄越したディアが鼻で返事をする。感じ悪いな、本当に。
敷物になる物は何もないけれど、諦めて地面に直座りする。今日スカートを履いてこなくて良かったと思う。ちょっときつめのジーンズだった為歩くには不便したけれど、動きやすいことは確かなのだ。・・・こんなところに召喚されなければ歩く必要性も無かったのだけれど。
「そういえばミハルさん。自己紹介のときに自分は学生だとおっしゃっていましたが、貴方は貴族のご令嬢なのですか?」
貴族。現代日本においてこれ以上縁のない言葉は無いだろう。
「言われてみればそうだったな。守られることを常としているはずのそなたがこれほど移動を強いられることなど無かっただろう。よく耐えた」
「ええええ!?ミハルってお嬢様だったの?」
「あああ、違いますって私はただの市民です。えぇっと、平民?要するに一般人です」
貴族階級があるということは勉学系は特権階級とかお金とかそういうのが必要な世界観なのだろう。中世ヨーロッパとかその辺りかな。
慌てて否定した私を困惑したように見てくるレームさんとカストルさん。
「だが学問というものは時間と金の余った上流階級の娯楽の一つだぞ?ならば学生という身分も偽りか?」
「うーん、その辺を説明するには私の国の法から話さないといけないのですが。‥‥面倒なので気にしない方向で、じゃ駄目ですか?」
「大変申し訳ありませんが。学問というお金のかかることを社会制度という国の礎で実行しているミハルさんの国の有りよう。大変興味があるのですが」
えぇっと、つまりこれは楽園宣言を受けることが確定という訳でしょうか。説明するのが本当に面倒なのですが。話を何か逸らさせないかと目線を泳がせてしまう。
「おい、肉が焼けた。塩を寄越せ」
良いタイミング!空気を読んだなディア。ありがたかったのでちょっとだけ嫌い度数を下げておく。
「飯を食いながらでもいいだろうその話は。とっととぽてちとやらを渡せ」
前言撤回。とりあえず睨みつけながら砕いたポテチの入った袋を手渡した。少しだけたじろいだ姿を見せたディアに溜飲がおちる。なんなんだよ一体、とぶちぶちいいながら少量のポテチを振りかけていくディア。さすがに最低五日分と考えて分配しているようだ。
「そうですね。幸か不幸か時間だけは沢山ありますし、ゆっくりお話していただけると嬉しいです」
レ、レームさんに笑顔で言われると断れないのですが。私も気になる是非とも頼むとかも言われてしまってますが。
「・・・分かりました話します。話しますからそんなに見ないでください」
二人とも美形だって、分かってやってます?
そんなこんな思っていると渡されるアリクイもどきの肉。それなりに肉汁で表面に艶ができおいしそうに見える。けど味付けポテチだしなぁ。とりあえず勇気を持って一齧り。・・・不味くも無いけどおいしくも無い。って言うか硬い。そしてやっぱり塩気が弱い。こういうのを野性味溢れる味とか言うのだろうか。
「まぁまぁだな。ちょっと臭みが強いか?」
咀嚼しながら少しだけ細かく味の批評を下すディア。実はグルメとかだったりするのだろうか。
「戦時中ならば消毒と気付けのために蒸留酒を携帯しているのだがな。少々惜しい」
「ま、仕方ねぇさ」
戦時中、とは物騒な単語だと思う。カストルさんの世界はまだ剣と矢が飛び交うような時代なのだろうか。
15.結構微妙な味付けと私:2
「まぁまぁ、無いものねだりをしても仕方ありません。それよりミハルさん、貴方の世界の事をお願いします」
「そうだな。酒の肴とは言わないが、夜食に華のある声があると食が進む」
その華のある声で言わないでくださいカストルさん。さすが指導者というかまとめ役、良い声してます。
とにかく一つため息をついて、自分の国を説明する為に私は口を開いた。
「んー、じゃぁ様々な法の大本から。憲法第15・・・、25条だったかな?『総て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は総ての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない』」
この辺りは国試対策として暗記している。・・・順番に自信はないけれど。
「・・・人らしく生きることを、国が保障しているのか?」
「正しく。見事な訳し方ですねカストルさん。ちなみに『健康というものは単に病気や虚弱ではないということではなく、社会的、心理的にも安定している状態』を示します。まぁこれは国ではなくてWHO・・・えぇっと世界保健機関・・・なんていえばいいんだろ。んー、つまり国際レベルで福祉を行なっている機関の定義ですが」
国際レベル、という言葉に耳を傾けていた美形集団が目を見開いていた。
「国々で、そのような素晴らしい世界を作る為に努力しているのか」
「健康というものは、社会と心理的に安定しているもの・・・ですか」
「国が保障する、か・・・」
「えぇっと、つまり凄いんだね?」
若干一人理解していないようだったが、義務教育の無い世界の十四歳には酷なことなのだろう。比較対象を見たことが無い為わからないけれど。
「とはいっても、人間という生き物が戦争でいろんなものを消費しているには変わらないですけどね。私の世界に居る、発展途上国なんかの何億人という子供に初等教育・・・えー、読み書きや計算なんかの勉強を教える為のお金以上の金額が、一年で使用された兵器弾薬につぎ込まれたりしてますし」
これは漫画から得たことだったりするのだけれど、イラク戦争が激化している頃に出版されたものだから間違いではないだろう。
「先ほどのような素晴らしい思想を広めることができる世界でも、争いは絶えないのですね・・・」
「まぁ、争いの理由は様々でピンからキリですけどね。まぁとにかく説明しなきゃならないのは私が学生って身分である理由。国際情勢なんか話していたら日が暮れます」
そんなに詳しくないって言うのもあるけれどね。
「ミハルの世界自体に興味があるのは確かだが・・・。取りあえずはミハルの国の事だな、頼む」
明日また話してくれとか言う意味じゃないですよねそれ。串に刺さった肉をまた一齧りして飲み込み、続きを話す。
「えっと、私の国って資源が少ないんですよ。そりゃもうびっくりするほど」
家庭にある携帯電話のレアメタルとかはともかく。
「あるにはあるけれど海底奥深くだとか、隣国に利権寄越せだとか言われるくらい色々面倒な場所にありまして。そのために昔の人はココを鍛えることを選択した」
ココという言葉ととともに私の頭を指差す。
「私の国の人間は背がやや低く、手も小さい。だからこそ手先が器用だった。知識を元に技術を伸ばすことを選んだんです。他国から資源を輸入し、他国では知られていない技術を元に加工し、製品を売る。まぁとてつもない貿易国家だと思ってください」
私の話を串焼き齧りながら頷き聞くレームさん達。カストルさんが口を開く。
「資源を他国に頼っているということは相当な弱みを国々握られているということにならないか?差し止められたら国として維持できないだろう?」
・・・今更だけれどカストルさんって物凄く頭の回転が速い。レームさんも。二人とも元の世界で「勉強できる身分」だったのだろうか。