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6.とりあえずこれから


「一通り自己紹介も終わりましたし、これからどうするか決めませんか?」

「確かにミハルの言う通りだな、雑談は方針を決めてからでもいいだろう」

なんとなくいたたまれなくて口にしただけなのだけれど、カストルさんが同意してくれる。話していても仕方がないかと全員頷き、ディアが大儀そうに胡坐をかいた。

「とにかく人里のある場所に行くべきですね。私たちが呼ばれたのか偶然飛ばされたのかそれを知る必要がありますし、帰る方法も調べなければ」

「うん。ボク早く帰って呪式のメモしたい。絶対忘れないけど誰かに発表される前に言わなきゃ」

魔術の世界でもノーベル賞のように投稿順の受賞か何かがあるのだろうか。

「私も早く帰りたい。30日以上居ると再履修になっちゃうし」

「再履修?」

「あー、とにかく時間制限のある理由があるって事ですよ」

サボりなんてしたら後で死ぬ思いをするのは私なのだ。今日は座学だったけれど明日は実習、遅れを取り戻すためにどれだけかかるか想像してため息を付いてしまう。

「とにかく深刻な問題なのだな?」

「はい、私の一生を左右するかしないかくらいです」

「それはいけませんね・・・。ミハルさんのためにも何とかしなければ」

「帰ることができないならそれも無価値だがな」

「ンな絶望を煽る事言わない!ポジティブにいかないと燃え尽きちゃうでしょうが!」

何を言ってるのか分からんといわれてイラつきは跳ね上がる。押さえ込まないと本当にあれこれ言ってしまいそうだ。

「まぁまぁ、とにかく。先ほど気の流れをたどりましたが、北北東の方角に人の気配を感じられました。かなりの規模なのでそれなりの人数がいると思われます」

「へぇ、便利なんだ。魔術だと偵察系の術はかなり制限があるから羨ましい」

「そうなのですか?まぁ私の場合は法術を使用するときに見なければならない力の流れを確認するだけですから。天気なんかもわかりますよ。上空の水気の量や動きなどで明日の天気を調べます」

「そんなもの匂いで気付けるだろ」

「野生に還ってない?」

「なんだと!?」

なんか怒りっぽいぞ無駄美貌。ってまた脱線してる。

「とにかく北北東だな?」

騒ぐ私たちをスルーして目的地を確認するカストルさん。団長ってことはやっぱりまとめ役になれているようだ。

「はい、そうです。西は鉱物の気配と、あまりよくないものの気配がありますので。・・・・!?少しまってください!」

大声を上げそうにないレームさんが慌てながら集中している。良くないものの正体でも見極めようとしているのだろうか。

「北北東から誰かが移動してきています。十人ほど、ですね。馬か何かに乗っているようです、五日ほどでこちらと出会うことになるでしょう」

馬に乗って五日ってことは徒歩だと何日かかるのかわからないということになる。第一町人に出会うまでに出席日数が終わりそう。

「‥‥我らを呼んだものたちだと思うか?」

「可能性は高いと思います。それに何らかの事故が起こり、私たちがここに放り出されたのだと考えれば、それなり納得もいきます」

・・・・もし本当に召喚されて、失敗しているとしたら。もしかしたら次元の隙間だとかなんだとかに放り出された可能性もあったってことだ。召喚するにしても

「もうちょっと丁寧に召喚してほしいよ」

ホントにね。


.生きるための持ち物


「こっちに向ってるやつらがどんなやつらだろうと別にいいだろ。不利益そうなら切る、それだけで十分だ」

ディアって脳筋っぽい。むしろ文句も言わずにこの集団の中に居ることに違和感がある。スタンドプレー派って感じなのに。いちおう集団で集められた意味があるだろうと思っているのだろうか。

「身の危険があるのならばな。だがひとまずは話をすることからだ。情報がなければ何もできん」

「とにかく私達のほうもあちらに向かって歩きましょう。合流は早いほうがいいでしょうし」

「最低五日ってことは五日ほど生き延びなきゃいけないんだよね?」

言われてみればそうだ。えぇっと生き残るには最低でも水がいるのよね。川とかはレームさんにお願いしたら見つけられそうだけど。ご飯とかどうすればいいんだろう。

「どうもこの辺り・・・と言うよりも国規模で、ですね。結界が張られているようです。そのお蔭かどうかはわかりませんが、魔物や妖獣といった類はいないようです」

「残念だ。ついでに肉として処理してやるのに」

鞄の中には一週間の夜食用に購買で買い込んだお菓子類が詰め込んであるけれど、さすがにそれだけだとつらいだろう。ペットボトルのお茶がほとんど手付かずで残ってるのは幸運だとは思うけれど。

「一応野生動物などはいるようです。近くに獣がいるかどうかはわかりませんが、運がよければ狩れると思います」

「手持ちにいくらか非常食はあるが、この人数では一日も持たんな」

「あ、お菓子ですけどエネルギーになるものは結構ありますよ。ポテチなんて大袋ですし」

というか異世界の食物を口にしたくないというのが本音だったりするのだが。だって異世界よ異世界。見た目が同じでもDNAは違うだろうし、下手をしたら原子すら違うかもしれないのだ。

宇宙の中にこの星はあるのだろう。けれど魔法という概念がある時点で「違う宇宙」だと決定できる。物理法則も余裕で無視だ。

法則が違うということは、原子記号の法則が違う可能性もあるということだ。例えば私の世界で鉛と同じ原子構造をしているものがこの世界の炭水化物の基本骨格だとしたら?高濃度鉛中毒で普通に死ねる。

私の体までこの世界の法則と同じものに組み込まれたのならば死ぬ可能性はないだろうけれど、そこまで親切にできてはいないだろう。・・・・まぁ、呼吸できてる時点で酸素はあるか。

食べなければ死ぬことには変わりない。食べて死んだらそのときはそのとき。異世界食文化にふれて小林美春ここに眠るってことで。

「ポテチ?」

あれこれざっと考えていたらビィが首を傾げていた。笑って疑問に答える。

「芋を薄切りにして油で揚げたものよ。かなりおいしい」

「芋に脂か。脂という事はかなりのちからになるだろう」

ではなくてなのだけれど。

「それにかなり塩辛いんで、最低調味料にはなると思います。それでもこの人数じゃやっぱりきついですね。ということでがんばれディア!」

やっぱり不機嫌そうにこっちを見つめるけれど、文句は受け付けられない。言わずものがな私にはサバイバル技術など皆無だ。

「なるべくなら生きて家に帰りたいのでお願いねー」

「‥‥なぜ俺が狩ったものをお前にやらなきゃならない」

「さっきも言ったよね、ポテチって塩辛いのよ?」

長い沈黙。講義と実習で塩分濃度とその味の違いを習ったけれどこんな取引に利用できるとは思わなかった。・・・不味かったなぁ、塩抜きの焼肉とダシだけの煮物。

「それにポテチ以外にも飴とか饅頭・・・小麦の菓子なんかもあるからいざというとき助かるわよ?私の国の保存技術は異常だから封さえ開けなければ半生菓子もかなり持つし」

「凄いですね・・・。申し訳ありませんが、私は水ぐらいしか所持品がありません」

「あ、構わないですよ。どっちにいけばいいのかとか動物の場所とか色々聞きますから」

動物の解体は皮をはいだ鶏以外したことがないけれどきっと眩暈はしないはず。ウサギみたいな小動物でないことを祈ろう。

「とにかくお願いね、ディア」

「・・・・・判ったよ!」


8.運動馬鹿と器用な魔術


「なんていうか私貴方のことちょっと甘く見てた。本当に運動神経いいのね」

っていうか走って逃げる謎の四足動物を脚力だけで追いかけるとかちょっと人間に分類したくない。腰に装備しているやつじゃなくてどこかに持っていた大振りのナイフみたいなので急所を一撃。捕まえたと思ったらすぐに血抜きをして皮を剥いで解体している。カストルさんがつけていたマントを敷物代わりにナイフを走らせて、内臓を引きずり出していた。

「お前は見た目通りドン臭そうだな」

「はいはい、現代女子大生なんて運動不足のいい例ですよまったく。ガンバレ運動できる人」

やる気のない私の応援にディアが舌打ちする。最低限の運動はしているけど、瞬発力も持久力も明らかに負けているのだ。張り合うだけ無駄だろうし。

「すまないな、弓があれば私も役に立てるのだが」

カストルさんはそれこそテレビとかで見る狩りをやってそうだ。馬上で弓引いてする鷹狩りみたいなの。さすがに獣に走って追いつくなんて事はできないだろうし。

「それもこれもいきなりこんなところに放り出す召喚主が悪いんですよ。呼ばれたかどうかはまだ判らないですけど。それよりマント、いいんですか?何かの本で、騎士とか貴族とかはマントはかなり大切な物だって読んだことがあるんですけど」

「ああ、問題ない。こちらに呼ばれたときはちょうど執務中でね。少々肌寒かったので暖房で部屋を暖めるまでと仮着用のマントを羽織ったのだ。アレには家紋も国家紋も刻まれていない。汚れても構わないものだ」

家紋と国家紋が刻まれていたらアウト、ということですか。ま、構わないといっているのだしありがたく使わせてやろう、ディアに。

「あ、お肉干物にするなら任せて。火術でパパっとつくるからさ」

カストルさんとのんびり話しているうちにぶつ切りサイズの肉ができたらしい。塩がないので天日干しにするわけにもいかないし時間もないと思っていたけれど、手間の時間を短縮させる魔法、いや本人に言わせると魔術か。があるのでなんとかなりそうだ。

「・・・焦がすなよ?」

「や、やだなぁボクがそんな失敗するわけないじゃない」

・・・・何とかなるのか?ちょっと心配かも。だけどはじめてみる魔術ってやつに興味心身なのは確かだ。謎の肉の前に両手のひらを翳し、なにやらブツクサと呟くビィを凝視する。

「排除するは水、起因は火。熱き風にて我が望み叶えん」

水、火、風。やっぱり地もあるんだろうか。そんな事がチラッと脳裏を掠めたけれど、目の前で起こる現象にそんな事を考える余裕もなくなる。辺りがちょっと暑くなった?と思ったら、肉からもうもうと蒸気が立ち昇ってきたのだ。アラビアンナイトの魔人が使うようなボフンとした魔法の煙じゃない。肉からゆっくりと水分をひねり出すように生み出される湯気。赤身に脂肪のついた肉が少しづつ変色していく。

「すっごい・・・・」

「便利なものだな」

魔法、じゃない魔術を初めて見る私とカストルさんが感動していると、レームさんも驚いていた。

「素晴らしい、ですね。私の国の魔術はもっと大雑把なことしかできません。ここまで細かい応用を利かすことができるとは」

「‥‥いろいろ研究したからね」

褒められているのになぜかビィは不機嫌そうだった。この程度のことできて当たり前とか?

「それはいいがとにかく肉を冷やせ。水分がないから腐れんだろうが、塩がないのはやはり不安だ」

「あ、うんちょっとまって」

そう言ってさっきと逆の呪文と下がる気温。冷たい感覚にふと思いつき、冷凍肉を袋に入れて運んだら駄目なの?と口にする。あ・・・・、なんて言われてしまった。うーん、つまり凍らせっぱなしもできるのか。落ち込む集団を尻目に、魔術の知識が一つ増えたことにとりあえず満足しておこう。


9.菩薩の輝きと体力不足


「し、死ねる・・・・」

筆箱についているキーホルダーの時計をちらちら確認しながら2時間30分近く。歩いて歩いて歩いて歩いてとりあえず力尽きていた。電車通の私がスニーカーを履いているわけがない。そこそこ高いヒールで舗装されていない道を歩けばどうなるか身をもって体験するハメになった。

最初の一時間ほどはそれなりテンポよく歩けたのだが(それでもみんなに大分のんびり歩いてもらっていたが)、しばらくして足がガタガタに。レームさんが居てくれて本当に良かったと思う。何度も何度も法術のお世話になってしまった。

「すみませんミハルさん・・・。私の力は外傷や腫れなどを治癒することは出来るのですが、体力を回復させることはできないんです」

本当に申し訳なさそうに頭を下げるレームさんに大慌てで私は首を振る。申し訳ないのはこっちのほうですってホントに。

「とんでもないです!レームさんが居たからここまで私歩けたんですよ!それなのに謝られたら私は土下座しなきゃならないじゃないですか」

「ドゲザ?」

突っ込むところはそこですか。

「あー、私の国の礼の一つですよ。最大級の感謝や謝罪、もしくは嘆願なんかの時に使います」

空手とか柔道とか花道とか茶道とかにも使うだろうけど、まぁその辺は割愛しとこう。

「ああなるほど。そこまで丁寧にしていただかなくても結構ですよ。ミハルさんにいただいた飴のお礼です」

ふんわり、そんな効果音が似合いそうなほど綺麗に微笑むレームさん。優しい空気に思わず流されそうになるけれど、さすがに飴程度でそこまでしていただくと釣りあわない。

「いや、あの、とりあえず私の今のできることって何もありませんし、できることといったら甘いものの提供しか・・・」

「甘味、というものは活力となりますから。本当に助かっているのですよ?」

「は、い・・・」

ご、後光が見える。この人に否定の言葉を投げつけても絶対に真綿に来るんでそっと胸ポケットにしまってくれるに違いない。

「レームの言う通り、ミハルから貰った飴は随分助かった。それに女人の身で我々についていこうとする心意気だけでも十分だと思う」

こんなに持ち上げられたの初めてなので力の限り恥ずかしいのですが。カストルさんそんな子供が良くがんばったみたいに頭をなでなでしないでくださいよ一応私20歳っていいましたよね?って言うか足手まといには違いないので落ち込むんだけど。


・・・・ホントの所を言うと、私ははじめレームさんの治療を断ったのだ。申し訳ないから、ではなく、恐ろしくて。

食べ物と同じ理由。羽根のような柔らかい雰囲気のレームさんが治癒できるなんて嘘をつくはずはないと判っている。判ってはいるのだ。

でも、足の腫れは、疲労はつまるところ乳酸の溜まりなのだ。乳酸はビタミンと酸素がきちんと供給されればコリ回路にて糖新性後分解され、TCAサイクル・・・とにかくエネルギーとしてきちんと利用される。

つまり、疲労回復は乳酸の昇華なのだ。それなのに体力が回復しないのに痛みと腫れは収まる、ということは。体の中にある乳酸はどうなるのか。

必死に勉強してきたものが覆される恐怖と、わけの分からないものが自分に施される恐怖。ここは私の国じゃない世界じゃない法則はない足手まといになる、だから。

自分に言い聞かせてみても、怖くてお願いしますとはいえなかった。

頑なな私に、レームさんは微笑んで。

「私の力に害がないことを証明しますから、どうか治療させてください」

と。あっさり自分の腕を切り裂いて。悲鳴を上げる私を尻目に傷を治してしまった。

こんなわけのわからない世界にきて、混乱はしていたけど泣きわめきはしなかったのに。レームさんにそんな事をさせてしまって、私はガタガタ震えてボロボロ涙を落とし謝罪しながら治療を受けさせてもらったのだ。レームさんはやっぱり笑って、

「私の世界でも良くあったことなんですよ」

なんて、言ってくれた。ぬるい温泉につけるようなぽわっとした心地よさとともに消えた痛みに、私は何度も何度も謝った。レームさんが困った顔をして、甘いものを下されば結構ですよ、といってくれるまで。


10.あっという間に野宿の時間


そんなこんなあったから多分、みんなが加減して歩いてくれたんだと思う。絶対何か厭味を言ってくると思っていたディアまで、トロ人間ならトロ人間らしくそれなり頼っとけ、なんて妙に優しかったし。不機嫌そうなのは相変わらずだったけれど。

・・・甘くて優しいなんて、ご都合主義の一つだと首を振る。きっと何か思うところがあったんだろうと言い聞かせる。まぁ、飴の礼だったかもしれないけど。

「そろそろ野営の準備を。テント類がないのは致し方ないが、火だけは何とかしておかなければならん」

「あ、それはボクに任せて。乾いてない枝でも強制的に水分飛ばして燃やせるから。ボクが寝ても燃える物があれば同じ性質で燃やし続けることもできるし」

私でもついていけるペースで歩き、日が大分傾いた頃にキャンプの御達しが出た。暖をとるためと調理のための焚き火の話がでると、ビィが干し肉のときと同じく名乗り出る。

「魔術であってもやはり枝は必要か・・・。わかった、少々出てくる。ミハルは所持している食料の確認をしておいてくれ。ビールはミハルの手伝いと、保存が利きそうにないものがあったら凍結か脱水を頼む。レームとディアは一応他の獣が狩れるか試してみてくれ。なるべくなら保存食を使わないでおきたいからな」

それは要するに私とビィに休んでいろということじゃ。慌てて私も薪替わりの物を取りにと口を開こうとしたけれど、あっという間に走り去ってしまった。・・・あの様子ならば確かに私が居ないほうが早いだろう、たかが燃料集めであっても。

「いや、一応枝がなくても火は燃え続けるよ?代わりにボクの魔力が燃えるだけで・・・」

見えなくなってしまったカストルさんの背中に向かって落とされる呟き。どうやらビィも困惑しているらしい。

「カストル殿は紳士ですからね。女性や子供に無理はさせられないということでしょう」

ニコニコとビィの頭を撫でながらレームさんが言う。

「一応ボク14なんだけど」

と口を尖らせるビィに

「私の国では17歳が成人です。それに大概の術師は体力が少ないでしょう?」

そういって治癒術を施していた。じゃぁレームはどうなのさ、と口を開けば、

「私は大人ですから」

とあっさりそう返されていた。一応、レームさんも術師のはずなのですが。

「大人には色々秘密があるのですよ、体力の秘密とか」

・・・・秘密になるんですか、それ。

「いいからガキどもは座ってろ。レーム、近くに獲物は?」

「そうですね、少し待ってください・・・・ディア殿の足で10分といったところですか」

「わかった。レーム、背中に乗れ、運ぶ。場所探知と結界での追い込みを任せた」

「・・・一応、私は大人なのですけれどね。まぁ、わかりました。適材適所ということでしょう」

そういってあっさりレームさんinディアの背中が完成してしまった。唖然とする私たちに手を振って

「一刻ほどしたら獲物の血抜きした状態で戻ります。火とぽてちなる調味料代わりのものの準備、よろしくお願いしますね」

カストルさんと同じくディアに運ばれて見えなくなってしまった。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

ビィと二人して呆然とする。

「大人って、あんな風なんだ」

確かに行動力も判断力も理にかなっている。協力しなければならないし、一番効率のいい方法を決断することができるのもいい大人の条件なのだろう。が。

「・・・・一応私も成人してるけど、なんか肯定したくない・・・・」

私はまだまだ甘いということなのだろうか?うん、きっとそうに違いない。無理やり納得させて、とりあえず任された仕事をきちんとこなそう。

「ビィ、カストルさんとレームさんの頼み、終わらせておこう?」

「う、うん」





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